ロシア拘束から解放されたタイラ氏、当時の状況を語る

ロシア拘束から解放されたタイラ氏、当時の状況を語る

ウクルインフォルム
マリウポリ防衛戦の際にロシア側に拘束され、6月17日に解放が発表された救急医療士のコードネーム「タイラ」ことユリヤ・パイェウシカ氏が、ロシアに拘束されていた際の3か月間について語った。

タイラ氏が独DWへのインタビュー時に発言した

タイラ氏は、「私は、拘束と自由制限は、どんな人の認識も変えてしまうものであり、人々の社会や自分への姿勢を修正してしまうものだと思う。自分のことについて言うと、もちろん、それは人生における新しい段階だった。私は、二度と捕まらない。絶対に。そして、拘束されることは誰にもおすすめしない。(中略)物理的にも精神的にもそれら全てに耐えるのは非常に困難だ…。私は、しっかりした体の形を維持し、意識も保つことができ、ある程度悪くない状況で居続けることができた。しかし、それでも解放の時は非常にひどい状態だった。人生でああいう挑戦は、回避した方が良い」と発言した。

同時に同氏は、まだ捜査が終わっていないとして、拷問や心理的圧力について話すことは断ったものの、「恐ろしかった」とだけコメントした。

さらに同氏は、拘束されていた時の彼女に対する扱いはひどかったと述べた。また、「(拘束の)最後の頃、私はドネツィクの拘置所に拘束されていた。そこには、非常に多くの私たちの被拘束者がいる。扱いはひどいものだ。食べ物は大なり小なり与えられる。飢餓で死ぬことは無理だ。しかし、最後の1週間は、私たちは石鹸も与えられなかった。拘置部屋には22人の女性がいて、部屋は3メートル×5メートルの空間だ。ベッドは10台。他の者たちも自分の家族や子供の情報は得られていなかった。彼女たちの心理状態はただただ悲惨だ。しかし、大半は強い尊厳とともに耐えていた」と伝えた。

同氏は、自身が解放される確率は1%未満だと評価していたと述べ、「それは心理的影響のせいだ。かれらは非常に専門的に行動する。どこに嘘があって、どこに真実があるのか、ふるいにかけることはとても難しい。私はすぐに『お前は生き延びられない』『自ら命を絶った方が良いだろう』と言われた。もちろん、彼らにとっては私がそうした方が都合が良かったのだろうが、しかし私はそんなチャンスはやらなかった」と発言した。

加えて同氏は、「どこにいようが、どこで拘束されようが、何を言われようが、知っておくと良い、やつらの話は嘘だと。あなたはありとあらゆることで断罪される。あなたは拷問される。あなたは、尋常じゃなく痛い目に遭わされる。しばしば、限界に達する。受ける心理的影響はあまりに強い。『ウクライナはもう負けた』『世界中があなたを見捨てた』『あなたはもう誰にも必要とされていない』と嘘をつかれる。それらは全て完全な嘘だ。敵を信じてはいけない。信じないことが必要なのだ。やつらはプロパガンダで常識を失った非情な人間である」と伝えた。

これに先立ち、ウクライナのゼレンシキー大統領は17日、マリウポリ防衛戦の際にロシア側に拘束されたと見られていた救急医療士のコードネーム「タイラ」ことユリヤ・パイェウシカ氏を解放できたと発表していた

「タイラ」ことユリヤ・パイェウシカ氏は、活発なボランティア活動で有名な救急医療士であり、8年間にわたり、東部ドンバス地方で軍人や民間人の救助をしていた人物。

タイラ氏は、合気道のコーチもしており、デザイナーでもある。2月24日のロシアの全面的侵攻が始まってからマリウポリで救急医療士としての活動をしていたが、3月16日にロシア側に拘束された。同氏は、「タイラの天使たち」という名前で住民避難のためのチームを作って活動していた。国防省系メディアの「アルミヤインフォルム」の情報によれば、2019年時点ですでにタイラ氏は500人以上の軍人の命を救っていたという。

また、タイラ氏は以前、自身のコードネームはかつてオンラインゲームをしていた時に偶然選んだ日本の歴史上の苗字「平」から取ったと説明していた。


Let’s get started read our news at facebook messenger > > > Click here for subscribe

トピック

ウクルインフォルム

インターネット上の全ての掲載物の引用・使用は検索システムに対してオープンである一方、ukrinform.jpへのハイパーリンクは第一段落より上部にすることを義務付けています。加えて、外国マスメディアの報道の翻訳を引用する場合は、ukrinform.jp及びキャリー元マスメディアのウェブサイトにハイパーリンクを貼り付ける場合のみ可能です。オフライン・メディア、モバイル・アプリ、スマートTVでの引用・使用は、ウクルインフォルムからの書面上の許可を受け取った場合のみ認められます。「宣伝」と「PR」の印のついた記事、また、「発表」のページにある記事は、広告権にもとづいて発表されたものであり、その内容に関する責任は、宣伝主体が負っています。

© 2015-2024 Ukrinform. All rights reserved.

Website design Studio Laconica

詳細検索詳細検索を隠す
期間別:
-