ヤツェク・チャプトヴィチ元ポーランド外相
ポーランドでは情勢が再考されている
11.06.2026 17:28
ヤツェク・チャプトヴィチ元ポーランド外相
ポーランドでは情勢が再考されている
11.06.2026 17:28

過去2週間でポーランドにおいて最も大きな反響を呼んだ出来事は、同国のナヴロツキ大統領による、ウクライナのゼレンシキー大統領からポーランドの最高国家勲章である「白鷲勲章」を剥奪する可能性に関するイニシアティブであった。この勲章は、2023年4月にドゥダ前ポーランド大統領から授与されたものである。

ナヴロツキ氏はその決定の理由として、ゼレンシキー大統領がウクライナ特殊作戦軍の部隊の1つに「UPAの英雄」という記念名称を付与したことを挙げた。このイニシアティブに関する白鷲勲章選考委員会の6月8日の会合の後、ポーランド大統領府は、本件に関する決定をナヴロツキ氏が「適切な時に」下すと発表した。

ポーランドのヤツェク・チャプトヴィチ元外相(在任2018〜2020年)は、ウクルインフォルムとのインタビューにおいて、ナヴロツキ大統領のイニシアティブや、ポーランド側の「適切な時に決定を下す」という声明、これがウクライナ・ポーランド関係及び国際情勢全般にどのような影響を与えたか、この状況でどのように行動すべきかについて自らの意見を語った。

聞き手:ユーリー・バナヘヴィチ(ワルシャワ)

写真:ポーランド外務省

多くのポーランド人にとって、ウクライナ蜂起軍(UPA)は何より「ヴォリーニの悲劇」やポーランド人の大量殺害と結びついている

チャプトヴィチさん、ナヴロツキ・ポーランド大統領による、ゼレンシキー・ウクライナ大統領からポーランドの国家勲章である白鷲勲章を剥奪する可能性を検討するイニシアティブをどのように評価していますか?

まず第一に、ウクライナの部隊の1つに「UPA(ウクライナ蜂起軍)の英雄」という名前を付与するというウクライナ大統領の決定は、ポーランド社会に本当の痛みを引き起こしたと指摘しておきます。多くのポーランド人にとって、UPAは何よりもヴォリーニの悲劇やポーランド人の大量殺害を連想させます。ここにおいて『痛み』という言葉は完全に適切であると確信しています。

同時に、ポーランドはこの問題において、もっと前からウクライナともっと活発に協力すべきだったと考えています。ナヴロツキ大統領は未だにキーウを訪問しておらず、常に様々な論争のある問題を提起しています。

そうではなく、歴史の複雑なページへの認識を冷静に形成し、徐々に和解へと進むために、対話を行い、相互理解と協力を深める必要があるのです。

ポーランドはドイツから遥かに大きな損失を被りましたが、それにもかかわらず、私たちは同盟関係、友好関係、協力を構築することに成功しました。そのような道が、ポーランドとウクライナの両国民を待っています。

ポーランドは交渉のための空間を少し残しておくべきなのです。戦争は、ウクライナにとって複雑な歴史的文脈についての議論を行うための最善の時ではありません。今日、ウクライナは自らの存在、主権、国家性のために戦っているのですが、ポーランドにはこの状況への理解が十分ではないように私には思えます。

代わりにポーランド側からは、私はそれを激しく批判しているのですが、ウクライナの歴史問題に対する姿勢を変えさせるために、ウクライナの苦しい立場を利用しようとする試みが看取されています。私たちはウクライナに対して上から目線で接してはいけない。なぜならウクライナは強い国家であり、100万人近い軍を有しているからです。したがって、ポーランドがウクライナに何かを強要できるという考えは大きな誤解です。

ウクライナ人は自らの場所をよく認識している誇り高い国民です。さらに、ウクライナはロシアの侵略の前に単独で立ち塞がったため、大きな道徳的権威と、いわゆる『ソフトパワー』を持っています。私たちはこれを認めなければなりません。なぜなら、ウクライナは、世界ではそのような存在として受け止められているからです。

また、もう1つの重要な側面にも注意を向けたいと思います。先日、ロンドンで欧州の主要国による重要な会合が開催されました

参加者たちは、ウクライナへのさらなる支援、和平交渉への参加、コンタクト・ライン上での戦闘行為の停止、そしてウクライナへの安定化ミッションの配置の可能性について支持を表明しました。もしポーランドがそのようなミッションへの参加を望まない場合、そのプロセスにおけるポーランドの重要性は限定的なものになるでしょう。ポーランドは自らの役割と可能性を現実的に評価すべきです。

そのため、ナヴロツキ大統領は影響行使のための間違ったツールを選んだと私は考えています。勲章の剥奪はそもそも検討の対象にすべきではありませんでした。外交的な措置に訴えることはできました。大使を呼び出したり、抗議の口上書を出して懸念を表明して、問題に注意を向けさせたりするか、あるいは他の影響力メカニズムを利用することはできたでしょう。

しかし、選択された方法は不適切であり、私の考えでは、肯定的な結果をもたらすことはないでしょう。

ポーランド大統領府では、月曜日の夜に白鷲勲章選考委員会の会合の結果として、ナヴロツキ氏がゼレンシキー氏の勲章に関する決定を「適切な時に」下すと発表されました。これは何を意味しますか?

確かに、大統領府は彼が適切な時に決定を下すと発表しました。しかし、私は強調したいのですが、どの大統領も、どんな問題でも、常に「適切な時に」決定を下すものなのです。実際には、それは結局のところゼレンシキー氏から勲章を剥奪する決定が下されなかったことを意味します。将来どのような理由でそれが下され得るのか、私には想像しがたいです。

さらに、この件に関する勲章選考委員会の立場は公表されませんでした。私はこれを、内省の結果であり、必要な一歩後退であると解釈しています。なぜなら、誰もが何らかの具体的な決定を期待していたからです。大統領自身、以前は勲章の剥奪を呼びかけ、自らこのテーマを提起していたのに、今では、『いつか何らかの決定を下す』と述べているのです。このテーマを今後も政治的ツールとして利用し続けたいという印象は受けますが、ウクライナはもうこれに同意しないでしょう。

言い換えれば、私たちは後退を余儀なくされ、いわゆる『チキンゲーム』で負けた、つまり最初に進路を譲ったということです。これは、2台の車が猛スピードで向き合って走り、最初に道を外れた方が譲歩したとみなされる状況です。私はこの状況を正にそのように評価しています。ナヴロツキ氏が最初に脇にそれたのです。彼は自らの約束を守らなかったのに対し、ゼレンシキー氏は自らの立場に留まりました。

ウクライナ向けのハブを閉鎖した場合、ポーランドは孤立していたはず

何がナヴロツキ大統領の立場の変更に影響を与えたと、あなたは考えていますか? 彼はこの措置に対して非常に断固とした姿勢であるように見えましたが…。

その状況に対する私の評価は肯定的です。何だかんだ言っても、ある種の再評価が生じた、つまりそのような措置はポーランド自体や国益、ウクライナとの関係にダメージを与えるというある種の内省が行われたのです。

だからこそ、この決定は満足をもって受け止められるべきです。もっとも、ポーランドの地位がすでに弱まってしまっている以上、このようなゲーム自体が最初から始まらなければ遥かに良かったのは言うまでもありません。しかし、最終的にこのアイデアが断念されたことは評価に値します。同時に、状況の展開に影響を与え得る新たな状況の出現を排除することはできません。

あなたの見解では、先週末のウクライナのブダーノウ大統領府長官によるワルシャワ訪問は、状況の発展に何らかの影響を与えましたか?

私は、同氏が訪問し、ポーランド人の意見を聴き、結論を下したのは正しかったと考えています。そして、どうやらその時に、ゼレンシキー氏は(ポーランド東部の町)ジェシュフからではなく、(モルドバ首都)キシナウから国際的な渡航を行うべきだという決定が下されたようです。その決定はポーランドを真剣に熟考させました。

対立が激化していたら、利益を得るのはロシアだけだった

ポーランドでは、歴史の見解相違を理由に、ウクライナ向けの国際支援の大部分が通過するヤションカのハブを修理のために閉鎖すべきだという意見も出ています。これについて、あなたの意見はいかがですか?

私の意見では、それは非現実的です。そのような行動に対して米国人や欧州人はどのように反応するでしょうか? 私たちは国際的な孤立者に変わり、相手にされなくなり、最終的にはどのみちその決定の見直しをせざるを得なくなっていたでしょう。そのため、私の意見では、それはそもそも議論の対象になり得ないことです。

西側諸国は概して、ポーランド・ウクライナ関係における現在の状況をどのように受け止めたと思いますか?

西側は、この状況全体に驚いています。この紛争のさらなるエスカレーションから利益を得るのはロシアだけだという点には、誰もが同意していると思います。しかし、繰り返しますが、幸いなことにポーランドでは情勢の再考が生じたのです。なぜなら、この対立を継続することによる損失は、潜在的な利益よりも大きくなることが認められたからです。

まもなく(ポーランド北部)グダンスクで、国際ウクライナ復興会議が開催される予定です。現在の状況を考慮すると、それはどのような雰囲気の中で行われるでしょうか?

ポーランドでは、現在の状況のせいでゼレンシキー氏がウクライナの復興を扱うその会議への出席のために、グダンスクに来ないのではないかという懸念が存在します。もし同氏が来ない場合、他の一部の首脳も訪問を取り消す可能性があります。そうなれば、重要な会議が二流のイベントに変わってしまい、それはポーランドにとってもウクライナにとっても新たな極めて大きな損失となるでしょう。

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ウクルインフォルム

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