ウクライナの汚職対策機関法の変更は欧州統合に悪影響を及ぼしかねない=機関トップ
クリヴォノスNABU局長が記者会見時に発言した。
クリヴォノス局長は、「欧州統合問題について、私は、SAP、NABUの機構上能力の強化は、EU加盟計画の一部であり、EU支援提供の一部であることを強調する。それは影響を及ぼすだろうか? 私は、及ぼすおそれがあると思う」と発言した。
同時に同氏は、国際パートナーたちの反応を待つよう呼びかけた。
同氏はまた、NABUとSAPを巡る状況がウクライナへの軍事支援には影響しないことへの期待も表明した。その際同氏は、「私は、私たちの軍人への軍事支援は継続されることを期待している。なぜなら、それは最重要だからだ。私には、今日の恥ずべき行動がそのようなことには関わらないことをとても強く願っている」と発言した。
これに先立ち、SBU関係者が同日、SBUと検事総局は、NABUへの「ロシアの影響力を排除」する特殊作戦を実施していると伝えていた。またSBUは、現職最高会議(国会)議員であるフェージル・フリステンコ氏に、国家反逆罪の容疑を通知したとも発表していた。SBUは、フリステンコ氏はロシア連邦保安庁(FSB)のトップエージェントだと主張している。
同時に、特別汚職対策検察(SAP)は21日、ウクライナの保安庁(SBU)がSAPのもとで、国家機密法遵守の調査を行ったと報告した。SAPは、今回の措置は、現在NABUとSAPが捜査している多くの刑事事件における秘密裏の捜査活動に関する情報の漏洩に繋がるおそれがあるとの見方を示している。
SBUは、SAPの家宅捜査時に、SBU職員が秘密の捜査情報にアクセスしたとする指摘を否定。NABUもまた、SBUによる主張に反論している。
G7大使ウクライナ・サポート・グループは21日、SBUがNABUを対象として、ロシアとの繋がりに関する捜査を発表したことにつき、深刻な懸念を表明していた。
ウクライナ最高会議は22日、ウクライナの政権高官の汚職犯罪捜査・起訴に特化した法執行機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」の権限を縮小する法案を採択した。
NABUは、同法案につき、「直前に行われた修正はSAPの独立性が事実上破壊され、NABUとSAPの活動を検事総長に従属させるものだ」と訴えていた。また、クリヴォノスNABU局長は、同日記者会見を開き、ゼレンシキー大統領に対して、今回最高会議が採択した法案に署名しないよう要請している。
欧州連合(EU)のメルシエ欧州委員会報道官は22日、ウクライナの汚職対策機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」はウクライナにおける改革議題にとって決定的な意味を持っており、その独立は、市民社会の信頼を維持する上でも、維持されねばならないと発言した。