「私と話すんだ、ジョー!」 各国報道機関の米露首脳会談の報道まとめ

「私と話すんだ、ジョー!」 各国報道機関の米露首脳会談の報道まとめ

ウクルインフォルム
7日の米露首脳オンライン会談につき、世界各国の報道機関からさまざまな見方が伝えられている。

執筆:オレクサンドル・フェロルチューク、ヴァシーリ・コロトキー、ユーリー・バナヘヴィチ、オリハ・ブドニク

キーウ(キエフ)時間の夜、世界は、その中でも特にウクライナは、ジョー・バイオデン米大統領とウラジーミル・プーチン露大統領のオンライン会談という、最高レベルの国際外交イベントを注意深く見守った。両首脳の協議は、ロシア軍のウクライナ国境沿いへの大規模集結と侵略国のウクライナへの侵攻の可能性に関する情報が溢れる中で開催されたものであった。

そのバイデン・プーチン協議はどのように終わったのか、米国の「プライベート外交」が達成したものは何だったのか、これからウクライナを待ち受けるものは何なのか。ウクルインフォルムは、この米露首脳会談後の各国の報道機関が伝えたメッセージをまとめた。

バイデン・プーチン会談の5つの結論

米ニューヨークタイムズ紙は、7日の米露首脳会談からは、ウクライナの運命はまだ宙吊りになっていること、天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」は脅威にされされていることなど、5つの結論を導き出すことができると指摘している。

写真:Getty images
写真:Getty images

同紙は、その会談は、バイデン氏にとって「大統領任期中で最も大きな外政上のテストの1つ」であったと指摘する。しかし、今回の会談はウクライナ国境の危機を解決しておらず、ホワイトハウスからもクレムリンからも決定的な進展は見られていないと指摘した。つまり、ウクライナの運命は今も宙吊りだということである。

同紙の考えるもう一つの結論は、「プーチン氏は今もしっかりと立っている」ことであり、彼が融和的ではないということだという。同時に、ロシア側はバイデン氏がプーチン氏と彼の要求について議論することに同意したと主張しているが、米国高官はこれを否定している。

次の結論は、「ロシアからドイツのガスパイプラインが新たなリスクにさらされた」ことだという。つまり、「ノルド・ストリーム2」が脅威にさらされているということだ。ヴィクトリア・ヌーランド米国務次官の7日に上院公聴会における演説から、米国は、ロシアがウクライナを侵攻した場合に、そのガスパイプラインを止めるとロシアに告げたことが明らかになっている。同紙は、「米国のプライベート外交」の成果だと指摘している。つまり、ノルド・ストリーム2が止められた場合、財政的に苦しむドイツに対して、米国は義務を負ったのである。

ヌーランド米国務次官
ヌーランド米国務次官

同紙はまた、バイデン大統領には「同盟者が必要」だと指摘している。また、米露首脳間の間の個人的な敵意を示す証拠はほとんどない、とも書かれている。

米露首脳の2時間の協議がもたらした影響は今後数か月ははっきりしないだろう

ブルームバーグは、米露首脳会談の後、双方がウクライナ問題を巡る危機を解除できたのかどうかがわかるには、数か月かかるだろうと予測する。

「バイデンは、プーチンのウクライナに関する最終目標を考えなければならない」と題された記事では、「バイデンは、プーチンのレッドラインの要求に同意しなかった。そして、プーチンは、ウクライナ国境に集めた(ママ)17万5000の部隊を撤退させることを約束しなかった。これは、プーチンには2014年のクリミア奪取の後もう一度ウクライナに侵攻する意向があるか、という根元的な問題に関して、新しい明確さを得ることができなかったということである」と説明されている。

Фредерік Каган
フレーデリック・カガン氏

フレーデリック・カガン氏は、今回の会談は、ロシアが米国に対してロシアの意向を考えさせることになったのであり、短期的には今回もまたロシア大統領の勝利となったと指摘した。「プーチン氏が危機を作り出す度に、米国大統領は彼に呼びかけを行っている。それが『考慮される国ロシア』を再生するという、プーチン氏の目的の実現を近づけている」と説明されている。

ウクライナを待ち受けるものは何か?

米露首脳会談は、両国の間の新たな外交的相互理解の役に立ったのだろうか。それとも、ロシアによるウクライナへの侵攻脅威の可能性は引き続き大きいままなのだろうか。

英エクセター大学戦略安全保障研究所のジョナサン・マーカス氏は、BBCの記事にて、一度の対話で危機が終わることはないと述べる。「今のところ、全ては、プーチン氏がその議論から何を得るのか、どのようなシグナルを受け取り、今後数日、あるいは数週間以内にどのようなシグナルを送るのかにかかっている」と発言した。

Джонатан Маркус
ジョナサン・マーカス氏

マーカス氏は、今後、3つのシナリオがあると予想する。1つ目は、最も蓋然性の低いシナリオであり、プーチン氏が後退し、軍をウクライナ国境から引くことだという。ただし、プーチン氏が大西洋間の団結と経済制裁の脅威に注意を向けることは間違いないとも指摘した。

2つ目のシナリオは両国間の外交的決定だとしつつ、同時に同氏は、そのような決定が「いずれにせよ、キーウ政府、ウクライナ全体の方針に関して、ロシアが抱える根本的問題は解決することはない」と述べた。

3つ目のシナリオは、ロシアがウクライナに軍事侵攻するシナリオであり、その規模は、大規模侵攻から、ウクライナ東部に限定した著しい侵攻まで幅があり得ると指摘する。同氏は、その場合の目的は、「ウクライナに自らの立場を見直させるため」だという。

プーチンは脅迫シナリオで何を得たいのか?

Інна Гартвіч
インナ・ガルトヴィチ氏

オーストリアのディ・プレッセ紙は、「プーチンは脅迫シナリオで何を得たいのか?」と第する記事を掲載した。

同記事にて、記者のインナ・ガルトヴィチ氏は、恐怖を利用して敬意を勝ち取るという行為は、多くのロシア人の意識・行動に深く根付いたものであると説明する。尊敬を勝ち得るために自らを脅威的な存在として示し、弱者だと思われないようにすることは、子供たちがソ連時代に学んできたことだという。現代ロシアでは、そのような「恐怖の拡散」と脅しの行使が政治的手段となっているというのだ。ガルトヴィチ記者は、そのような視点から、ロシアによるウクライナ周辺の部隊の集結を評価している。彼女は、西側は、そのような軍事侵攻の脅威に積極的に対応しているが、それこそがプーチンの望んでいることであると指摘する。プーチン氏は、ウクライナによるNATO非加盟のような、更なる「レッドライン」を引いているのだという。

記事には、「問題は、そのような保証(NATO不拡大)の願いが叶うことはないことにある。それは、ロシア人もわかっている。間違いなく。しかし、それでもなお、ロシア政権には冷戦時代の思考から脱却することは難しいのだ。クレムリンは、今も世界をいくつかの影響圏に分けており、中東欧と東欧の国々が自らの発展の方向性につき自らが決定を下す可能性を否定し続けている」と書かれている。

同時に記者は、問題はもう一つ、クレムリンの視点にウクライナというものがそもそも存在しないこと、ロシアは、キーウで採択されている決定を指示しているのはワシントンだと思っていることにあると指摘する。同氏は、ロシアは今年の春時点と同様にウクライナ周辺に部隊を集結させているが、そうすることで「犯人」である米国との間で協議を模索しているのだと説明する。

ガルトヴィチ氏は、「ロシアは、世界中の注意を求めており、米国と対等でありたいと思っている。大量のロシア軍の移動は、『私と話すんだ、ジョー!』という救いのない叫びのように見えるのだ」と指摘した。

Маркус Акерет
Маркус Акерет

スイスのNeue Zürcher Zeitungのモスクワ特派員マークス・アケレト氏は、米露首脳会談は具体的な結果をもたらしておらず、小さな息継ぎを与えただけだとし、「ウクライナ紛争の決定的な場面は、まだ先となる」と発言する。

記事には、「どうも、プーチン氏は、ウクライナ紛争解決のための彼にとっての時間が尽きつつある、行動の時が来た、と感じているようだ。バイデン氏との対話の後の、(プーチン氏の)キーウに関するイメージが、『何も変わらない』のであれば、見た目はどうあれ、軍事案は絶対に下げられない。その意味で、ビデオ首脳会談は、次の緊張の場面へのプレリュードにしかならないのかもしれない」と書かれている。

「悪魔は細部に潜む」

ポーランドのジェチポスポリータ誌は、バイデンとの協議においてプーチンが妥協することは誰も期待していなかったと指摘する。代わりに、その協議の後、クレムリンがウクライナに対して更なる侵攻を行う準備があること、NATOを弱体化させようとしていることがよりはっきりと見えてきたという。同誌は、バイデン氏は、民主的手続きや、有権者に対する責任から制限があるが、プーチン氏には全く制限がないとし、また紛争を生み出すことは、プーチン氏による帝国復活の手段なのだと指摘した。そこで、ロシアがウクライナに更に侵攻した場合、発表したような制裁パッケージ米国が本当にを発動するなら、それはロシアにとって「実感ある政治的・経済的な孤立」となるだろうとの見方を示している。

写真:露クレムリン
写真:露クレムリン

同誌は、米国によるウクライナやNATOの東方同盟国への支持の発表は、「大きな政治的シグナルだ」としつつ、同時に「軍事的に決定的な意味」は持たないだろうと指摘する。ウクライナ国境沿いにおけるロシア軍の著しい集結を喚起しつつ、西側にとっては、その数は「非常に多いというわけではない」と指摘した。他方で、同誌は「悪魔は細部に潜む」とし、米露首脳会談後に、米国(議会)が対ノルド・ストリーム2制裁を取り下げたことは懸念を呼ぶものだと指摘し、同時にそれはロシアというよりはドイツに対するジェスチャーだろうと予想した。同誌は、「それは、ドイツにチャンスを与えるためのジェスチャーだ。ロシアの対ウクライナ侵略が生じた場合、ドイツが、クレムリンの帝国的政策に資金提供をするパイプラインの封鎖に加わる決定を下せるようにしたのである」と書いている。

ロシアを加えた大規模な戦争の可能性は小さい=トルコ紙

Мітат Челікпала
ミタト・チェリクパラ氏

トルコのジュムフリイェト紙にコメントした、国際関係分野の専門家であるミタト・チェリクパラ氏は、ロシアは緊張を見せびらかすために高めたのだと指摘した。同氏によれば、ロシアの目的は、米国を制止し、ウクライナを「服従」させることにあるが、ロシアの参加する大規模戦争が起こる可能性は現時点では小さいだろうと発言した。同氏は、「その緊張は続いていくだろうが、しかし、私は大規模戦争は起こらないと思う」とし、その理由として、ブルガリア・ルーマニアにおけるNATO部隊のプレゼンスが強化され続けていることと、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合、制裁をはじめとする国際的圧力が強められることを指摘した。

また同氏は、トルコが同紛争の解決に仲介を担うという案については、実現の可能性が小さいと見ている。同氏によれば、ロシアの目には、トルコはグローバルプレーヤーとは映っておらず、トルコが仲介役を担える国だとは思われていないからだという。そのため、ロシアにとっては、トルコの仲介役の提案を引き受けることは、妥協を意味するのだと指摘した。そして、同氏は、仮にロシアがその案を受けるとすれば、ロシアがトルコの仲介を必要かつ有益だと思った時だけであると指摘した。また、同氏は、トルコは、ウクライナともロシアとも緊密に連携しているとし、トルコがNATO加盟国であること、対露的内容を含むNATOの戦略文書の署名国であるとの観点からして、トルコは引き続きバランスを取って行動すべきだと主張した。同氏は、現在のロシアの行動は、ウクライナのNATO加盟を防ぐ試みに他ならないとも指摘した。

トップ写真:ホワイトハウス


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