ゼレンシキー大統領、プーチン露大統領の「ロシア人とウクライナ人は一つの民」論文に皮肉コメント
ゼレンシキー大統領が全国フォーラム「ウクライナ30 人文政策」登壇時に発言した。ウクルインフォルムの記者が伝えた。
ゼレンシキー大統領は、プーチン氏の論文がウクライナ語でも発表されていることにつき、「あの人物がウクライナ語を知っているというのは嬉しいことだ。もし、ロシア連邦大統領がウクライナ語で物を書き始めたのであれば、それはつまり、私たちの行なっていることが正しいということだ」と発言した。
また大統領は、自身は仕事のスケジュールが詰まっており、その論文を全て読む時間は今のところないとしつつ、しかし目を通した部分だけからは、ある種の印象が生じていると述べ、「深い仕事を目にした。確かに、ロシア連邦大統領はそれに多大な時間を割いたようだ。というのも、それにはアーカイブを用いた作業が非常に多く含まれているからだ。私は、あのように大きな国の大統領があれほどに大きく、非常に精密な作業に多くの時間を割けるということにつき、嫉妬を覚えるのみである」と発言した。
その上で大統領は、現在、ウクライナ・ロシア首脳感の会談に関するやりとりに向けて多くの時間が割かれていることを喚起し、「私たちは、ウクライナ・ロシア連邦大統領会談についていつも話している。現在、ロシア大統領には時間が足りないという。私は、彼が何に時間を割いているのか知らない。そして今、私はその結果を目にしている(編集注:プーチン露大統領が論文に時間を割いていたことが分かった、の意)。しかし、私には、彼が書いたような内容は、私たちは話せばいいのではないかと思えるのだ。また私は、別の、将来の論文のために使えるように彼に多くの資料を与えても良い」と指摘した。
同論文にて、ウクライナ人とロシア人が「兄弟民族」として扱われていることにつき、ゼレンシキー大統領は、「ファシズムとの勝利や第二次世界大戦について話す時や、どれほどのウクライナ人の命が失われたかという話の時は、私たちのことは忘れられる。そして、他の場面では『私たちは兄弟民族』などと思い出されるのだ。私は、ロシア語で言おうと思う。(編集注:ここからロシア語)そういう事をするのは兄弟的ではない。むしろカインとアベルに似ている。(編集注:ここからウクライナ語)そのため、時間を見つけ次第、私たちはその論文を必ず分析する」と発言した。
これに先立ち、12日、プーチン露大統領は、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」と題する論文を公開していた。その論文は、「ロシア人とウクライナ人は一つの民である」とする従来の同氏の主張から始まっている。またプーチン氏は、「ロシアとウクライナの間にここ数年で生じた壁」を「悲劇のような大きな苦しみ」だと形容し、その責任は、ウクライナ人自身が自ら犯した過ちと外部勢力による「目的を持った活動」にあると主張している。
この「論文」に対して、ウクライナ社会では激しい批判が起きている。