親露TV局制裁 政権側は意図を説明 記者組合代表は決定を批判
ゼレンシキー大統領がツイッター・アカウントに書き込んだ。
ゼレンシキー大統領は、「制裁は困難な決定だ。ウクライナは表現の自由を強く支持している。しかし、侵略国に支援され、ウクライナのEU・欧州大西洋統合の道を弱体化させるプロパガンダを支持しているのではない。独立を巡る戦いは、真実と欧州的価値を巡る情報戦争の闘いなのだ」と書き込んだ。
国家記者組合のセルヒー・トミレンコ代表は、フェイスブック・アカウントにて、今回の制裁発動につき批判的な見方を示した。
トミレンコ氏は、「裁判もなく唐突に3つのウクライナのテレビ局の活動を禁止することは、非常な状況である。ウクライナのジャーナリスト、メディアマネージャー、報道機関所有者は、表現の自由と職業の権利を持っている。そして彼らは、自らの活動に責任を負っている。しかし、責任とは、法の枠内の話である! 裁判を経ずに何百万の視聴者のウクライナの報道機関へのアクセスを剥奪すること、何百の記者、メディア関係者の職業の権利を禁止することは、表現の自由への攻撃である」と批判した。
大統領府長官顧問であるミハイロ・ポドリャク氏は、ウクルインフォルムに対して、今回の決定の意図は、偽情報と他国のプロパガンダへの対抗措置だと説明した。
ポドリャク氏は、「いわゆるメドヴェチューク氏(編集注:プーチン露大統領の宗教上の親族であり、最高会議において親露政党会派に属する議員)一味のテレビ局に対する制裁は、完全に期待されていたものだ。ロシア連邦のウクライナのメディア空間の真の偽情報拡散活動を分析していたものなら、疑問を持つことはまずないだろう。本件は、全くもって透明な決定である」と発言した。
同氏は、制裁対象となったテレビ局は、積極的かつ頻繁に他国のプロパガンダ手段を利用していたと指摘しつつ、「さらに、そのプロパガンダへのおかしな財政支援手段についての多くの証拠もある。また、資産の同企業への移動に関する著しく汚い物語もある」と述べた。
同氏は、今回の決定は国家安全保障国防会議(NSDC)のものであり、国家による評価であると述べ、「メドヴェチューク氏のテレビ局への制裁が、メディアに関するものや、表現の自由に関するものでないことは明白だ。本件は、フェイクと他国発プロパガンダへの効果的な対策である」として今回の制裁決定の理由を説明した。
また、制裁対象となった112ウクライナ局のウェブサイトに、テレビ局を所有するメディアホールディング「ニュース」社の声明が掲載された。
声明には、「政権は、ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領の名の下、野党テレビ局3局を破滅させる決定を採択した。NSDCは、3局を閉鎖する決定を下した。NSDCは、大統領の直接指示を実行することで、捏造された口実で、ニュース社のテレビ局の活動を禁止したのだ」と書かれている。
同社は、今回の制裁につき「(政権に)同意しない報道機関に対する政治的な弾圧だ」と指摘した。
声明にはまた、3局がウクライナ国民へと報道する権利をめぐって闘っていく意向が示されている。
これに先立ち、2日、ゼレンシキー大統領は、NSDCの2月2日付決定を発効させる形で、ロシア連邦のプーチン大統領の宗教上の親族であるヴィクトル・メドヴェチューク最高会議議員に近いタラス・コザーク同議員と、コザーク議員所有のテレビ局である112ウクライナ局、ニューズワン局、ジク局に制裁を科していた。