独議会のノルド・ストリーム2に関する決定は破滅的前例を生み出すおそれあり=宇外務次官
8日、イェホール・ボジョク・ウクライナ外務省次官が、独議会による独露間新パイプライン「ノルド・ストリーム2」のEU法回避を可能とする法案採択の可能性について、ウクライナ外務省はどのような方策を採っているかと尋ねるウクルインフォルムの問い合わせに対して発言した。
ボジョク次官は、「確かに、独議会では、ドイツ国内法にEUガス指令を適用する内容の法案が審議されている。本日未明、当該法案が投票にかけられる可能性があった。現在ある情報では、同法案の現在の版では、『ノルド・ストリーム2』がEU法の適用から除外されてしまう。現時点では投票は行われていない。現在の状況は、確かに懸念を抱かせるものであり、ウクライナ側は、既に活発にEU、特にドイツと作業をしている」と発言した。
同次官は、ヴァディム・プリスタイコ外務次官が、ドイツを含む欧州の同僚と協議を行っていると指摘した。また、同次官は、自身もアンカ・フェルドグゼン駐ウクライナ独大使や、マッティ・マーシカソン駐ウクライナEU大使を含め、欧州の外交官との協議を行ったと伝えた。更に、在独ウクライナ大使館も活発に活動しているという。
同次官は、「私たちの立場は非常にシンプルだ。それは、独議会がEUのエネルギー自由化ルールを回避する決定を採択した場合、EUとそのエネルギー安全保障にとっての破滅的前例を生み出す、というものだ。そのため、ドイツは、現状に追加的な注意を向けねばならない。欧州委員会もまた、全てのEU加盟国のエネルギー関連法とEU基本原則の適合性を確保するために、あらゆる方策を採るべきである」と発言した。
これに先立ち、8日未明、ドイツ議会は、独露間新パイプライン「ノルド・ストリーム2」をはじめ、EU域外の国からEU内へ繋がるガスパイプラインに適用されるEUガス指令に対して、修正を適用する法案を採択しようしていた。
しかし、極右のAfDが議会内の議員数が少ないことから、同投票を延期させるイニシアティブをとった。
なお、今年、EUガス指令への修正が採択されており、これにより欧州市場へのガス供給に用いられるガスパイプラインの独占的使用が制限されている他、そのガスパイプラインへの第3企業のアクセスを可能とする内容が定められている。同規定は、海上に設置されたものを含め、EU域内へ向かう、あるいは、EU域内から域外へ向かう全てのガスパイプラインに適用されている。
新ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」は、ロシアのガスプロム社と欧州の諸企業(Engie、Uniper、OMV、Shell、Wintershall)が共同で建設しているもの。同プロジェクトは、2019年待つまでに完成する予定となっている。
ウクライナ、米国、ポーランド、バルト諸国は、ノルド・ストリーム2の建設に反対を表明している。