言語法が発効
同法により、とりわけ、国家語基準委員会と国家語保護全権の設置が定められている。国家委員会は、ウクライナ国籍取得の際の国家語運用レベルの要件を確定する。ウクライナ語運用試験が行われ、試験結果に応じ、運用レベルを示す証明書が発効される。
国家語保護全権は、クレームを検討した上で、法の要件に反した主体に対する罰金の支払いを命じることができる。
また、同法によって、国家語を運用し、職務執行時に使用することが義務付けられるのは、大統領、最高会議議長・副議長、首相、閣僚、各国家機関の長、国営企業の長、最高会議議員、全てのランクの国家公務員、国家警察幹部・職員、裁判官、弁護士・行政書士、教育機関の幹部、教育者、国営・公営医療機関従事者である。
その他、国家レベルで、成人のためのウクライナ語講座の組織が行われる。国家は、ウクライナ国民のうち、これまで習得の機会を得なかった者のために、国家語を自由に習得するための機会を確保しなければいけない。
また、ウクライナ語運用能力がウクライナ国籍取得の必須要件となる。取得希望者は、前述のウクライナ語運用試験を受けなければならない。
ウクライナ軍に従軍する外国籍軍人のうち、国家勲章を受けている者につき、その人物へのウクライナ国籍付与が国益に適うとみなされる場合は、その人物は国家語運用レベルの証明なく国籍取得が可能となる。他方で、その人物は、国籍取得後1年以内にウクライナ語が運用できるようになることが求められる。
同法は、私生活コミュニケーションと宗教儀式には適用されない。
他方で、ウクライナ国内での文化・芸術行事、娯楽行事、劇場・祭典の開催の際は、アナウンス等でウクライナ語が用いられなければならない。発表者がウクライナ語を運用できない人物の場合、運営者はウクライナ語への通訳を確保しなければならない。
同法は、文化、テレビ・ラジオ放送、報道関連印刷物、消費者サービス等において、国家語適用に関する個別の特殊性を定めている。例えば、テレビ番組において、ウクライナ語コンテンツが90%に達することが、同法発効から5年以内のノルマとなっている。
この法律の大半の規範は、官報「ウクライナの声」掲載から2か月経過となる本日発効。同時に、特定のケースでは、発効時期がより遅いものもある。例えば、印刷報道媒体の分野では、移行期間が30か月に設定されており、今回は発効しない。新聞や雑誌などの全国で発行される印刷報道媒体は30か月以内、地方報道媒体は5年以内にウクライナ語版の発行をしなければいけない。同時に同法は他言語版の発行を禁止するものではない。さらに、欧州連合の公式言語となっている言語とクリミア・タタール語で発行されている報道媒体は、ウクライナ語版を発行しなくても良いとの例外規定がある。また、出版社と書店は、2年以内に、出版物・販売書籍の半分以上をウクライナ語のものにしなければならない。
同法は、法の規定に違反する者に対する刑事責任を定めていないが、国家機関と法の定める公的分野における国民のウクライナ語サービスを受ける権利への侵害は、罰金が定められている。罰金は、最大1万1900フリヴニャ。この罰則が発効するのは、3年後である。
これまでの報道にあるように、4月25日、最高会議は、「ウクライナ語の国家語としての機能保障」法案を賛成多数(278票)で採択していた。
5月14日にパルビー最高会議議長が、5月15日にポロシェンコ前大統領が同法に署名していた。