ウクライナで起きているのは「内戦」ではなく、ロシア兵士による占領=国連ドイツ代表
12日、国連安保理非常任理事国であるドイツのクリストフ・ホイスゲン常駐代表が、ウクライナ情勢国連安保理会合の際にこのように発言した。
ホイスゲン・ドイツ常駐代表は、「(ロシア常駐代表である)ヴァシリー・ネベズニャ氏の発言を聞いていると、ロシアがウクライナを侵略したのではなく、ウクライナがロシアを侵略したのでは、という印象が湧いてくる」と、直前のロシア常駐代表の発言を揶揄して冗談を述べた。
ホイスゲン・ドイツ常駐代表はまた、ロシアが違反したブダペスト覚書についても言及し、この違反が世界の秩序、国際法、軍縮に否定的な影響を与えていると述べた。また、同常駐代表は、ロシアがアゾフ海・黒海の航行の自由を制限している等して、国際法に違反し続けていることを指摘。また、ロシアによるウクライナ海軍軍人の拘束も国際法違反であると指摘した。
加えて、ホイスゲン・ドイツ常駐代表は、ドイツはロシアが用いる「ウクライナの内戦」という表現を信じないと強調し、さらに「ロシアの友人は、あたかもウクライナで『クーデター』があり、政権転覆があったかのような言い方をする。しかし、私たちは皆、実際はそれがロシアによる侵攻であったことを知っている。ロシア軍が、ドネツィクを含め、直接の占領に関与していたのである」と説明した。
また、同常駐代表は、ロシアのテレビでプーチン露大統領が2014年2月20日の時点でクリミア自治共和国占領をロシア特殊部隊に命令したことを報じたことを喚起した。
その上で、同常駐代表は、「クリミアも、ドンバスも、現在まで占領が続いている。そして、これら占領は全て『グリーンメン』だとか、『人々が自らの運命のために立ち上がった』だとかの『伝説(偽情報)』の力を借りて行われたものである。(実際は)違う、これらの人物たちはロシア兵士だったのである」と強調した。
ホイスゲン常駐代表は、2014~2015年を通じて真実が徐々に明るみに出てきたことを指摘し、たとえば、2014年8月に戦死したロシアの兵士の情報が出てくると、サンクトペテルブルクの「ロシア兵士の母の会」がロシア人がウクライナ東部ドンバス地方の戦闘に参加していると述べ始めるのだが、これに対して、プーチン露大統領はロシア軍人の死者の情報を全て非公開にする決定を下し、さらに「兵士の母の会」を「外国エージェント」に認定したことを喚起した。