10月25日、ウクライナでは統一地方選挙と全国世論調査実施
新型コロナウイルス感染(COVID-19)拡大の観点で、2020年地方選挙は、医療面の安全が考慮される。熱のある人、症状のある人は、投票所にてその他の人とは別の経路で移動することになり、専用の投票箱が用意される。自己隔離中の人のためには、防護された人々による移動投票箱が準備される。
マスク着用を拒否した人も投票はできるが、その他の有権者とは分かれて投票することになる。また彼らには防疫規範違反による罰金が定められる。政府の定めた防疫勧告の中には、投票用紙記入・用紙受け取り時署名用のボールペンの持参、可能であれば未成年の子供やペットは自宅に残す、身分証明書は選挙委員に渡すのではなく、自分で開いて見せる、といった内容が含まれる。
投票所内の選挙監視員、政党代表者、記者の数は制限されない。
ウクライナの有権者の数は、約2720万人。投票所数は、2万9000強である。地域選挙委員会が11月3日までに投票結果を確定する。
2020年1月1日に新しい選挙法典が発効したことにより、今回の選挙には複数の新しい特徴がある。
一つ目は、小選挙区制で投票が行われるのは、人口1万人未満の領域共同体(フロマーダ)のみである。また、1選挙区から2〜4名の議員が選出される(以前は、1選挙区1議員)。
二つ目は、人口1万人以上自治体の地方議会では、政党のみが候補者を出すことができ、投票は非拘束式名簿比例代表選挙となる。議席を獲得するのは、5%の閾値(いきち)以上の得票をした政党である。有権者は、候補者の順位の掲載された政党リストに投票することもできるし、その政党の特定の候補者に投票することもできる。このシステムにより、政党リストでは下位の候補者でも、上位候補者と入れ替わって当選する可能性がある。
票の集計には、クォータ制が導入されている。特別な公式によるものであり、まず一議席に対し、いくらの票が投じられたことを数える。それから、各政党が候補者リストでいくら得票したか数える。その後更に各党候補者が個別にいくつ得票したかを数える。この公式により各政党から誰が当選したかを決める。
このような非拘束式名簿での比例代表制は、各政党内の競争を著しく強めるものであるが、他方では、有権者にとっての複雑さも生じさせる。新採用制度であり、批判も多く受けているが、そのメリットとデメリットについては、選挙プロセスが終わった時に判明するだろう。
また、人口7万5000人以上の市における市長選挙では、決選投票が行われる。1回目投票でいずれの候補者も過半数の得票がない場合、上位2名により決戦投票が行われる。
今回の選挙では、新選挙法典に従い、初めて地方選挙にジェンダー割り当て制が導入される。各政党は、政党リストにおいてどちらかの性別の候補者の割合が40%を下回ってはならない。
また25日には、選挙と同時に、ゼレンシキー大統領の主導した世論調査が実施される。大統領は、10月13日に動画を公開し、10月25日に投票所へ行き、次の5つの質問に答えるよう呼びかけた。
・特大規模の汚職で終身刑を適用すべきか否か。
・あなたは、ドンバスに自由経済圏を作ることを支持するか。
・最高会議(国会)の議員数は300まで減らすべきか?
・ウクライナにて、重病者の痛み軽減のために医療用大麻を合法化することを支持するか?
・ウクライナは、国際レベルでブダペスト覚書が定めている安全の保証を利用する問題を提起すべきか?
大統領府はその後、世論調査は国民投票と違い、直接的な法的効力は持たないものであり、選挙手続きの一部でもなければ、選挙委員会の資金を使うものでもないと説明した。