ウクライナの発電能力の70%以上が破壊あるいは占領されている=専門家

ウクライナの発電能力の70%以上が破壊あるいは占領されている=専門家

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ウクライナのシンクタンク「ラズムコウ・センター」のヴォロディーミル・オメリチェンコ・エネルギー問題代表は、現在ウクライナの発電能力の70%以上が破壊・破損されたか、占領されていると発言した。

オメリチェンコ氏が公共ラジオ「ウクラインシケ・ラジオ」出演時に発言した

オメリチェンコ氏は、「数十億ドル相当のインフラが破損している。最も機微な破損・破壊は、ドニプロ水力発電所だ。あれは、ウクライナにとって本当に非常に大きな損失である。強調すべきは、ドニプロ水力発電所は、ウクライナの電力システムのバランスを取ることを可能にしていた重要な発電所だということだ。私たちは、それでなくても尖頭負荷発電(編集注:尖頭期(ピーク時)のみの発電)が不足しているので、その発電の損失は非常に大きい。そこに加えて、ドニプロ水力発電所への攻撃だ」と述べ、ロシアは核施設や水力発電所への攻撃を禁止するジュネーブ条約に違反したと補足した。

また同氏は、ウクライナへの電力供給支援はモルドバ、ルーマニア、ハンガリー、スロバキア、ポーランドが行えると述べた。

そして同氏は、「今日、私たちには、欧州連合(EU)にいくらかの電力不足があるという情報はない。むしろ、EUの電力市場には今、特に5月は、余剰がある。思うに、夏の間は余剰のある状態が続くだろう。なぜなら、EUには非常に多くの太陽光と風力の発電所が建設されているからだ。そのため、彼らが春や夏に私たちを支援できないということは想定していない。冬や秋には、確かに一定の問題が生じ得る。しかし、とはいえ、ウクライナへの供給量はそれほど大きくない。そのため、今非常に重要なのは、ウクライナが欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)との間で、電力輸入上限を1700MWから少なくとも2500〜3000MWまで拡大することについて、協議を成功させることだ。物理的には可能だが、ENTSO-Eからの支持が必要なのだ」と発言した。

さらに同氏は、全面戦争開始以降、2022年2月24日にウクライナが有していた発電能力の内、残っているのは25〜30%だけだと伝えた。

同氏は、「そのため、現在エネルギーシステムは実質的に計画停電に差し掛かっている。すでに今日(5月8日)の夜、計画停電は18時から23時まで産業と商業の施設に対して適用されている。停電は国民に対しても適用されるだろうか? それはまだわからない。全ては、この期間の国民の消費水準にされていく」と指摘した。

8日に「エネルギー・公共サービス国家規制委員会」が発電施設の電力ネットワークへの接続手続きを簡素化する決定を下したことにつき、オメリチェンコ氏は、現在、世界の国々から小型発電機が大量に持ち込まれてきており、それをできるだけ迅速に電力ネットワークに接続しなければならなくなっていると指摘した。そして、「そのため、それは、その手続きを簡素化し、電力システムがしかるべき支援を受け取り、均衡を得るためには、全くもって論理的な決定だ」とコメントした。

加えて同氏は、ウクライナへの電力輸入が人為的に制限されることのないよう、「エネルギー・公共サービス国家規制委員会」が、前もって市場の価格上限を取り消す、あるいは大幅に引き上げることを決定すべきとの見方を示し、特に秋・冬に電力輸入が必要となることを補足した。さらに同氏は、「2つ目(編集注:の採択すべき決定)は、国民向けのものも含め、全てのカテゴリーの消費者の電力価格を市場水準に達するようにすることを決めることだ」と強調した。

その上で同氏は、ウクライナ国民は2022〜2023年に経験したような、あるいはそれ以上に厳しい状況に直面するだろうと予測している。

同氏は、「すでにウクライナの70%以上の発電能力が破壊、破損、あるいは占領されている。そして、このような短期間でそれを復旧することは不可能だ。そのため、国民が省エネに取り組むことが必要である。それは、LEDランプやスマートソケットのことだけでなく、需要を管理せねばならない。ピーク期には、電力機器の使用を減らさねばならない。アドバイスの1つは、バッテリーを購入し、例えば、それを夜に充電し、ピーク時にそれを使うというものだ。それは、私たちの電力システムも国民自体も助けることになる」と説明した。

これに先立ち、8日、ロシア軍は、ウクライナのヴィンニツャ州、ザポリッジャ州、イヴァノ=フランキウシク州、キロヴォフラード州、ポルタヴァ州、リヴィウ州の電力インフラ施設をミサイルと無人機で大規模に攻撃した。これにより、DTEK社の3つの火力発電所や、住宅、教育施設、病院が破損している。

電力会社「ウクルエネルホ」は、8日夜18時から23時にかけて、商業向けの電力供給の制限が導入されると発表していた。また、消費量がさらに拡大した場合には、住民向け停電も実施される可能性があると伝えている。


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