ロシアは世界を飢餓の脅威で脅している=フォンデアライエン欧州委員長
フォンデアライエン欧州委員長がダボス会議の際の演説時に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。
フォンデアライエン氏は、「私たちは、ロシアがどのようにエネルギー供給を武器に変えているかを目撃しており、それはグローバルな被害を出している。残念ながら、私たちは食料安全保障に関しても類似の傾向を見ている。ウクライナは、世界で最も肥沃な土地の一つである。ウクライナの国旗すらもウクライナの典型的な景色を象徴している。黄色い小麦畑と青い空だ。ウクライナの被占領地にて、クレムリン軍は予備穀物や農業機材を接収している。それは、最も暗い過去の記憶を思い返すものだ。ソヴィエト政権が農作物を接収した時のこと、30年台の凄惨な飢餓のことだ(編集注:ホロドモール)」と強調した。
また同氏は、現在ロシアの火砲がウクライナ全土で意図的に穀物倉庫を砲撃していると指摘した。また、ロシアの黒海の軍艦がウクライナの穀物を載せた船舶の出航を妨害していることも喚起し、ロシアのこれらの恥ずべき行為の被害は皆にとって明白であり、世界の小麦の価格が急上昇し、それによって最も脆弱な国々が被害を受けており、レバノンではパンの価格が70%上昇したと指摘した。オデーサからの食料がソマリアに供給できていないとも伝えた。
加えて同氏は、ロシアは現在自国からの食料輸出も抑えており、それを脅しに使っていると指摘した。すなわち、ロシアは今後も食料価格が上がることを示唆しつつ、穀物取引は政治的サポートと交換だと述べているのだという。同氏は、ロシアは飢餓と穀物を利用していると強調した。
その上で同氏は、「欧州は、世界市場に穀物を届けられるよう緊迫しながら活動している。現在、ウクライナには2000万トンの穀物が閉じ込められている。通常、穀物の輸出は1か月に500万トンであったが、現在は、20万〜100万トンである。その輸出を支援しつつ、私たちは、ウクライナが非常に必要としている収入を得られるように支援しており、国際連合世界食糧計画(WFP)は緊急に必要な供給を受け取れるよう支援している」と説明した。
同氏はまた、穀物輸送のためにEUはいわゆる「連帯回廊」なるものを開通したとし、それはウクライナの国境と欧州の港を結ぶものだと説明した。EU側がその食料の様々な輸送手段のために資金を投入しているとのだとし、この努力によって、ウクライナの穀物が世界の最も脆弱な国々に届けられる可能性があると指摘した。
さらに同氏は、この危機へのもう一つの対応として、欧州から世界市場への供給のための欧州内の食料生産の向上を挙げた。さらに、EUは現在存在する予備食料の合理的な利用と、受け入れ可能な価格による食料品の追加的生産のためにWFPと緊密に連携していると説明した。
同氏は、国際社会のこのような協力は、ロシアの脅迫に対する「解毒剤」だと強調した。
また同氏は、アフリカ諸国における食糧生産の発展を促進し、そのために必要な技術や機材を提供しているとも伝えた。