ホンチャルーク首相、国家はプリヴァト銀行を元所有者に返還しないと発言
22日、オレクシー・ホンチャルーク首相が英国訪問中にロンドンの「チャタムハウス」で知られる王立国際問題研究所(RIIA)にて発言した。「アメリカの声」通信が報じた。
首相は、「私にも、大統領にも、政府にも、プリヴァト銀行の件は、全世界にとってウクライナを示すものであるという、非常にはっきりとした理解がある。そのため、もちろん、私たちは、この銀行も、銀行の資金も、前の株主に戻してはならないという立場にある」と発言した。
また、首相は、プリヴァト銀行に関し、とりわけ本件に関する複数の提訴においての将来あり得る判決に対する対応に関しては、「政府には戦略があり、どんな情勢展開にも対応する準備がある」と発言した。
首相は、「本件が『ウクライナは変わった』というシグナルとなるよう、ウクライナ政府、大統領チームは、できることを全て行っていく」と強調した。
また、ホンチャルーク首相は、ウクライナの大富豪(オリガルヒ)は政府にも大統領にも影響を持っていないと発言した。同時に、首相は、オリガルヒたちが報道機関という、国内外に自身の声を大きく広める手段を有していることを認めつつ、同時に、「それは、彼らが影響力を持ちたいということを示しているだけであり、実際には彼らの影響力は減少している」との考えを示した。
首相は、ウクライナ経済への一部の民間からの否定的影響を低減させる手段として、中央銀行の独立、インフラ分野をはじめとする各分野の独占状態の解消、国営企業の民営化、改革された新しい裁判システム法を通じた法の支配の確立を挙げた。
なお、2016年12月18日、ウクライナ政府は、中央銀行と当時の株主(最大株主は、オリガルヒのイーホル・コロモイシキー氏とヘンナジー・ボホリュボウ氏であった)の勧告を根拠に、ウクライナ最大の銀行であるプリヴァト銀行を国営化する決定を下した。
同銀行の経営再建のために、国家は、1550億フリヴニャ以上を投入している。
プリヴァト銀行の元所有者たちは、国営化を違法だと考えており、国内外の裁判所で複数の裁判が継続している。
2019年4月18日、キーウ(キエフ)市区行政裁判所は、コロモイシキー氏の提訴を受けて、プリヴァト銀行の国営化決定を無効化する判決を下した。これに対して、当時の閣僚会議、中央銀行、プリヴァト銀行は、同年5月に控訴を行った。
また、10月15日、プリヴァト銀行は、イングランド・ウェールズ控訴裁判所にて、コロモイシキー氏とボホリュボウ氏を相手にした裁判にて、プリヴァト銀行は裁判審議実施と約30億ドルの賠償を受けるための十分な前提条件があるとの判決を下している。裁判所による資産凍結の命令は、本件の内容面での判決が下るまで有効である。
大統領府は、裁判にてどのような判決が出ようと、国営プリヴァト銀行を元の保有者に返還するための根拠は存在しないと発表している。