
ウクライナ汚職捜査機関、チェルニショウ副首相に容疑伝達
NABUがテレグラム・チャンネルで公表した。
発表には、「NABUと特別汚職対策検察(SAP)は、ウクライナの、以前地域発展相を務めていた現副首相(編集注:チェルニショウ氏)に対し、職権乱用及び、自身と第三者のために特別に多額の違法な利益を得た容疑を伝達した」と書かれている。
同高官は、国の高官が関与する建設分野での大規模な汚職取引事件における6人目の容疑者となったという。
捜査によれば、キーウの建設業者の1つがキーウでの住宅団地建設のための土地を違法に入手する計画を立てたという。同社は、そのために地域発展相に接触したところ、大臣は地域開発省の事務次官、大臣補佐官、国営企業総裁と協力して、その国営企業に土地を譲渡するための条件を整えたという。そして、その国営企業は、その後本来土地を求めていた建設会社との間に違法な投資契約を締結したという。
さらに捜査によれば、その契約で建設業者は将来できるアパートの一部を、土地の価値に比例した数で国に引き渡すことになっていたという。この数を最小限に抑えるため、土地とそこにある建物は市場価格の5分の1近くで評価され、その結果、評価額と市場価格の差額は10億フリヴニャを超えていたという。もし契約が履行されていた場合、国はこの金額分の不動産を受け取れなかったと指摘されている。実際には、この事態は、NABUとSAPの要請を受けて、土地が差し押さえられたことで阻止されたと説明されている。
この取引を成功させたことに対し、建設業者は大臣と彼が指定した人物に対して、すでに建設済みの住宅団地のアパートを大幅な割引価格で「報酬」として提供していたという。この割引により、1平方メートルあたりの価格は1000フリヴニャから8000フリヴニャとなっていたが、実際のそのようなマンションにおける最低市場価格は1平方メートルあたり約3万フリヴニャ。これにより大臣は、合計で1450万フリヴニャを超える割引という不法な収益を得たという。
NABUとSAPの要請により、違法に取得されたマンションの大半もすでに差し押さえられているとのこと。
これに先立ち、6月22日にチェルニショウ副首相・国家団結相は、海外出張から帰国したことを発表し、さらに6月23日にはNABUを訪れたと報告していた。
また、報道機関は、チェルニショウ氏が汚職事件を背景に、国外に留まっているという情報が流れていた。他方、チェルニショウ氏の広報室は、同氏は国外出張中であると主張していた。
また、NABUは、6月12日と13日に、建設分野の大規模な汚職取引を摘発したと発表。その際、NABUは、この取引には当時の地域発展省の元高官らが関与していたと伝えていた。その汚職により、国家は10億フリヴニャを超える損害を受けるおそれがあったと説明されていた。
これまでに、職権乱用未遂と不法な利益の取得・供与の容疑で、5人の人物(元地域発展省事務次官、元大臣補佐官、元国営企業総裁、建設業者、その代理人)に容疑が伝達されていた。