ラヴロフ露外相、ロシアによる停戦拒否を認める
ラヴロフ外相がアルメニア首都エレバンのロシア・アルメニア大学の学生たちとのやりとりの際に発言した。モスクワタイムズが報じた。
ラヴロフ氏は、即時かつ無条件停戦のイニシアティブを「まず停戦して、そこで見てみようではないか」という類の戦術だと形容し、ロシアはそのようなものには同意しないと発言した。
その際同氏は、2022年に決裂したロシア・ウクライナ間交渉を念頭に置いた上で、「私たちはもうこれまでにそうした話を経験しており、私たちはそういうことはもう望んでいない」と述べた。
ウクライナと欧州同盟国が主張する長期停戦については、ラブロフ氏は、それは「トランプ氏とプーチン氏が話した、ウクライナにおける長期的で持続可能な解決に向けた具体的な措置の準備」の1つの要素にすぎないと見なしているという。
同氏はまた、2022年に西側諸国がウクライナに対し、イスタンブルでロシアとの合意を結ぶことを「禁止した」と主張し、現在ロシアは「紛争の根本原因」が取り除かれることを期待していると述べた。
これに先立ち、ロシアや諸外国の報道機関が、「開戦直後の2022年3月に、ロシアとウクライナの直接交渉により和平達成の機会が生じていたが、米英が交渉を破綻させた」などと主張する記事を断続的に掲載していた。そのロシアとウクライナの和平達成に近かったと主張される協議は、協議開催場所から「イスタンブル合意/協議」などと呼ばれることがある。
なお、2022年3月には、ロシア軍のキーウへの攻撃の失敗が明らかになっており、イスタンブルにおける最後の和平協議となった3月29日の協議より前に、ロシア軍は戦力再編を目的にキーウ周辺から撤退をすでに開始していた。またラブロフ露外相は4月7日に「和平提案は受け入れられない」と発言している。
英国のジョンソン元首相は、自身が2022年4月9日にキーウを訪問した際に、あたかもゼレンシキー宇大統領に対して、ロシアと和平交渉をするなと命じたとするロシアの主張を否定している。
ウクライナのクレーバ当時外相もまた2024年5月に、「イスタンブル合意」ナラティブを否定し、そのナラティブは注意深く事実を見てみれば、その話はどのような批判にも耐えられるようなものではないことがわかると指摘していた。
ゼレンシキー宇大統領は2024年12月、いわゆる「イスタンブル合意」なるものは、ロシアがウクライナの降伏と独立放棄に関する最後通牒であり、実際にはその合意は存在せず、それはプーチンの「老いの空想」だと形容していた。
イェルマーク宇大統領府長官は2025年5月16日、ロシアは同日イスタンブルで行われた交渉を2022年に行われていた交渉と結び付けたがっていると指摘しつつ、それはうまくいかないだろうと発言している。