ウクライナの報道機関分析団体、報道関係者への圧力に対応するよう政権に要求

ウクライナの報道機関を調査する市民団体「マス情報研究所(IMI)」のオクサーナ・ロマニューク所長は16日、ウクライナの報道関係者が体系的な圧力を受けているとして、政権に対応を要求した。

IMIがロマニューク所長のコメントを公開した

本件は、調査報道記者として知られるユーリー・ニコロウ氏の自宅を正体不明の人物が襲撃し、軍への入隊を要求した事件と、汚職の調査報道で知られる報道チーム「Bihus」の代表が職員に対して追跡や通信傍受が行われていたことが明らかになったと発表したことを受けたもの。

ロマニューク氏は、「今日から明日にかけて、記者に対する体系的な圧力への政権の厳しい対応がなければ、民主的国家としてのウクライナにとって非常に悪いことになる。昨日は、NGLを調査するユーリー・ニコロウに対して、今日は、Bihus.infoに対して攻撃だ。以前にも、『メディア探偵』やセウヒリ・ムサイェヴァ(編集注:ウクラインシカ・プラウダ通信編集長)、『バべリ』(編集注:ニュースサイト)やその他のメディアに対する体系的な圧力があった」と指摘した。

また同氏は、メディアを狙った攻撃、追跡、秘密裏の動画撮影というのは、民主国家では看過し得ないものだと訴えた。

その上で同氏は、「私は、ヤヌコーヴィチ時代を思い出せる事例を見るのは非常に残念だ。それは、2024年には間違いなくあってはならない」と強調した。

これに先立ち、16日、調査報道プロジェクトとして知られる「Bihus」のデニス・ビフス代表は、Bihusのメンバーが禁止された物品を使用したなどとする挑発的な内容の動画が拡散されたと発表し、またメンバーが違法に尾行されたり、盗聴されたりしていたことが判明したと発表していた。

その他、15日には、調査報道を行うユーリー・ニコロウ氏が脅迫を受けたと発表。同氏は、不明の人物が前日14日に同氏のアパートに侵入し、同氏の母親や隣人を脅しながら、ニコロウ氏に軍への入隊を要求、扉に「徴兵逃れ」「裏切り者」と書かれた紙を貼り付けていったと報告した。

この事件の後、匿名テレグラム・チャンネル「カルトチヌイ・オフィス」は、事件当時の動画や写真を公開し、アパートに訪れたのは軍人であり、同氏に出頭命令書を渡しに来たなどと主張していた。

ユーリー・ニコロウ氏は、ウクライナ軍の調達における汚職手法などの話題となる調査報道を行なってきた人物。