【ロシアの偽情報】ウクライナ国家警護隊に違反者への発砲指示?

ファクトチェック

ソーシャルメディアにて、ロシアの偽情報拡散アカウントがウクライナ国家警護隊の指揮官の命令を摸した偽文書を拡散している。

執筆者:ドミトロー・バドラク

プロパガンダの拡散を行うテレグラム・チャンネル露ソーシャルメディア「VK」、複数のロシアの報道機関が、ウクライナのミコライウ市の第3056軍事基地(国家警護隊第16独立大隊)のルスラン・クジミチ指揮官の命令だとする写真を拡散している。それによれば、あたかも指揮官が、ウクライナ軍軍人が陣地を勝手に立ち去ったり、徴兵年齢の国民が動員から逃れたりしているために、検問所を設置して、複数の自治体の24時間パトロールを行うことを命じたことになっている。自動車の積載品検査、個人の持ち物検査、身分証明書確認が目的だと書かれており、さらに射撃地点の設置が命じられていることになっており、指揮官は隊員に市民が抵抗した際の武器の使用の手続きを伝えなければいけないと書かれている。

この文書は、偽物である。まず、作成形式が正しくない。ウクライナ国家警護隊はウクライナ内務省に属しているのだが、この拡散された「文書」では、国防省が命令主体となっている。

またオープンソースから、国家警護隊第16独立大隊が拠点とする第3056基地は、ミコライウではなく、ヘルソンにあることが確認できる。

さらに、ウクルインフォルムが第3056基地に問い合わせたところ、そのような命令は存在しないとの回答を得た。

なお、ウクライナ軍が発出したとする偽の文書による偽情報の発信は、プロパガンダの手段として広く用いられているものである。最近も、ウクルインフォルムは、ウクライナ軍の軍役の給与証明書に関する偽情報のファクトチェックを行った。