露クリミア占領政権、クリミア・タタール人活動家に電気ショックで拷問

一時的被占領下ウクライナ領クリミアのスタリー・クリム市で12月17日に拘束された、クリミア・タタール人活動家のナリマン・アメトフ氏は、露占領政権保安庁(FSB)職員により電気ショックで拷問を受け、嘘発見器での証言を強制されたと発言した。

21日、アメトフ氏本人の証言を映した動画が市民記者ネットワーク「クリミアの連帯」がフェイスブック・アカウントにて公開された

アメトフ氏は、「最初の通電は痛かったが、私は耐え抜き、耐え続けようと心に決めた。しかし、長くは耐えられないことも理解していた。そして、2回目の通電。さらに3回目。そこで、私は、脳がやられ、何もコントロールできなくなってしまった。私は、『もうたくさんだ。私は、その機械(編集注:嘘発見器)に座る!』と叫んだ。しかし、『それはもうお前が決めることではない』と言われ、電気ショックによる拷問は続けられた」と発言した。

同氏は、4回目の通電後、FSB側が彼に様々なことを言わせようとし始めたと説明した。また、拷問は地下室で行われたとし、5名の男性に囲まれ、その内の1人はマクシムという名前だったという。

アメトフ氏は、そのマクシムという人物が「私はマクシムという、口を割らせる人物だ。私は、お前のようなやつを潰すためにクリミアに来たのだ。私はお前に話させる」と述べたと伝えた。

また、拷問を受ける前に、アメトフ氏は、シンフェローポリ地区ペレヴァリネ村のガス管の破壊に関与した容疑がかけられていると言われたとし、全てを話し、嘘発見器に座るよう要求されたと伝えた。同氏は、自分はあらゆる暴力に反対しており、また、嘘発見器と呼ばれる物にも信用がないため、それに座って証言することはしないと述べたという。

アメトフ氏は、露FSBは拷問により、彼をガス管破壊「捜査」の秘匿証言者に仕立てようとしていたのだろうとの見方を示した。

そして同氏は、嘘発見器により「証言」させられた後に、さらにFSB職員により、FSB側に対するクレームは一切ないこと、彼は何もされなかったことを証明する文書に署名させられたと説明した。その後、同氏は解放され、帰宅できたのだという。

アメトフ氏は、自分は無罪だと発言した。加えて同氏は、「しかし彼らは、過ちを1つ犯した。彼らは私を殺した方が良かったのだ。なぜなら、私は今後(本件について)話していくからだ」と強調した。

また、同氏は、自身に対して圧力がかけられたのは初めてではないとし、2014年9月10日にも彼の自宅に家宅捜索が行われたと伝えた。その日も、彼はFSB建物に連れて行かれ、類似の証言を行うことが強制されたとし、その際も拒否すれば「牢屋で腐らせる」と脅されたことを明かした。

その後も、FSBは、アメトフ氏に対して繰り返し、秘匿証言者の役割をするよう脅迫により要求してきたという。

これに先立ち、12月17日朝5時30分、スタリー・クリム氏にて、露占領政権法執行機関職員が、アメトフ氏自宅の家宅捜索を行い、同氏を不明の方向へ連行していた。捜索時には、携帯電話、テレビ用機器、コーランが押収された。同氏は、同日夜になって帰宅したという。

ナリマン・アメトフ氏は、33歳で、3人の子供がいる。知人の話では、アメトフ氏は、クリミアで起きていることに関心を持っており、クリミアや露ロストフの裁判を傍聴したり、政治囚応援のための活動に参加したりしているという。