クリミア・タタール人の歴史・文化をウクライナ人に伝えるプロジェクト「道」開始

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17日、クリミア・タタール民族の歴史・文化、クリミアとウクライナの歴史的繋がりをウクライナの人々に伝える大型プロジェクト「道(Шлях/Yol)」のプレゼンテーションがウクルインフォルムで行われた。

同プロジェクトの代表を務める、クリミア・タタール陶芸家のルステム・スキビン氏は、「これは、専門的レベルで、文化活動家、歴史家、民俗研究者、音楽家を一つの場所にまとめ、私たちの文化、伝統を様々な層で示していくという初めてのユニークなプロジェクトだ。また私たちは、私たち(クリミア・タタール人)の国家性、ウクライナとクリミア半島の連携の歴史についても伝えたい」とプロジェクトについて説明した。

同氏は、同プロジェクトは、ウクライナ人とクリミア・タタール人の認識のレベルを高め、民族間の繋がりに関する間違った知識を正すことを目的に立ち上げられたものだと指摘した。

ウクライナ文化基金のウラディスラウ・ベルコウシキー総裁は、同プロジェクトへ支援につき「ウクライナ文化基金が『国の投資家』であり、内容があり、イデオロギー的にも思考的にもウクライナ、ウクライナ人に恩恵をもたらすことの期待ができる長期的重要プロジェクトに、資金を、ばらまくのではなく、投資する機関だとみなすのであれば、『道』プロジェクトの出現がウクライナ文化基金のサポートを得られないことはあり得ない」と強調した。

ベルコウシキー氏はまた、「道」プロジェクトの開始は「ウクライナにクリミアの歴史は存在するか」という長年の議論の延長線上にあるものだとし、「現時点までは、クリミアの歴史はウクライナの歴史言説の中に含まれていなかった、と言うことが可能となっている。ウクライナにクリミアはあるが、クリミアの歴史、クリミア・タタール人の歴史はない、そのような状態になってしまっていたのだ」と指摘した。同氏は、ウクライナではクリミアは歴史研究のレベルでも、博物館の展示品の中にも、民俗研究のレベルでも幅広く紹介されてこなかったと述べた。

同時に、同氏は、歴史上、クリミア・タタール人はウクライナの大地に何世紀にもわたって暮らしてきたのだと指摘し、「クリミア・タタール人は、私たちのそばに暮らしていた。彼らは、クリミア・タタール人の民族性を持っているというだけで、私たちウクライナ人と同じなのだ」と発言した。

その上で同氏は、「道」プロジェクトは、ウクライナ文化基金、ウクライナ・インスティテュート、国営企業「クリミアの家」の支援を受けて、クリミア・タタール人の歴史と文化、ウクライナとクリミアの歴史的繋がりをウクライナ人に示していくと説明した。

プレゼンテーションでは、同プロジェクトでは、展覧会、新しい観光ルートの紹介、書籍出版、クリミア・タタール語学習用アプリ開発、歌手ジャマラさんによるクリミア・タタール人の民謡や、ウクライナのミュージシャンによる子守唄のアルバム制作などが実現されていくと発表された。

また、同プロジェクト立ち上げに伴い、インスタグラム、フェイスブック、ユーチューブなどのソーシャルメディアにてプロジェクトの公式アカウントが作られたと伝えられた。