欧州委員会、ウクライナのEU加盟に向けた改革の進展を報告

欧州連合(EU)の欧州委員会は4日、EUの年次拡大パッケージの一部である2026年版のウクライナに関する年次報告書を公表した。同報告書では、ウクライナがEU加盟基準の履行状況が詳細に分析されており、2025年9月から2026年9月までの期間における主要改革の進捗が評価され、来年の指標が概説されている。

欧州委員会広報室の発表を元にウクルインフォルムのブリュッセル特派員が伝えた。

欧州委員会は、ウクライナが「全面的なロシアによる侵略、民間・エネルギー・インフラに対する絶え間ない攻撃、戒厳令という状況下において、欧州統合路線に対する揺るぎない献身を示し続け、民主主義機関の機能を維持し、法制をEUの法体系に適応させ続けている」と評価した。

交渉プロセスの状況と主要なクラスターに関しては、2025年9月の二者間スクリーニングが首尾良く完了したことに続き、2026年中に対称的な進展があったことが想起されている。6月15日に第1クラスター「基礎」が正式に開始され、7月14日に第6クラスター「外交関係」が開き、10月13日に第2クラスター「単一市場」、第3クラスター「競争力・包摂的成長」が開いたことが喚起されている。

欧州委員会は、残りのクラスターについても開く準備ができていると評価した。

また、2026年10月にウクライナと欧州委員会が中間ベンチマークの履行を加速させるため共同作業部会を設立したことも喚起されている。

議会・政府の活動の評価においては、欧州委員会は、ウクライナの民主主義機関の機能は安定したままであり、最高会議と政府が「その機能を効果的に果たし続けている」と指摘した。

同時に、委員会は、個別の時期における立法プロセスの減速にも言及しており、議会における野党の権利を調整する必要性を強調した。

ウクライナの戦後の選挙に向けた準備については、欧州委員会は、戒厳令下に選挙を実施することは法律で禁止されているものの、中央選挙管理委員会・最高会議の特別な作業部会が、初の戦後選挙の実施に関する欧州安全保障協力機構(OSCE)民主的制度・人権事務所(ODIHR)の勧告を履行するための重要な準備作業を実施したことを指摘した。

また委員会は、2026年10月に7年の任期が終了した中央選挙管理委員会の構成を適時に更新することの重要性を強調した。

報告書にはさらに、ウクライナでは活発な市民社会が活動を続けているとしつつ、活動家に対して圧力がかけられた事件は「捜査されなければならない」と表明されている。

国家機構改革については、欧州委員会は「適度な準備水準」と「良好な進捗」と評価している。具体的には、2026年から2030年までの国家行政改革・公共財政管理戦略が採択され、候補者の誠実性の厳格な検証を伴う国家公務員試験の復活と改善に関する法律が採択され、サービスのデジタル化が拡大されたことが喚起されている。

今年の優先課題として、単一求人ポータルを通じた全ての国家公務員試験の復活、政府における国家公務改革に対する政治的責任の明確な定義、行政手続法への法制の適応の完了が定められたと説明されている。

欧州統合プロセスにとって極めて重要な分野である「法の支配・司法制度」(第1クラスターの23と24)の評価では、ウクライナは「ある程度の準備」水準と「適度な準備」水準の間だと評価されている(編集注:5段階評価の下から2と3の間)。

司法制度における進捗については、ウクライナの高等司法評議会による新構成員の任命と21名中19名の定足数の達成、ウクライナ裁判官評議会による30名の新メンバーの選出、新しい専門行政裁判所のための国際的な裁判官選考メカニズムの導入が特筆されている。

一方で、ウクライナが実現していない課題としては、2500名を超える裁判官の空席の補充、市民誠実性評議会の参加を得た現職裁判官の評価プロセスの加速、高等裁判官選考委員会(HQCJ)・司法評議会のメンバー選考への国際専門家の一時的関与の緊急の継続、検事総長の選考・解任手続きの改革、弁護士制度の改革が挙げられている。

汚職対策の分野では、欧州委員会が「高い運用効率を示した」と評価した国家汚職対策局(NABU)、特別汚職対策検察(SAP)、高等反汚職裁判所という汚職対策専門機関の活動における進捗が特筆されており、エネルギー・防衛分野における犯罪摘発作戦「ミダス」などの話題となった政権高官の参加した大型犯罪事件の暴いた活動が例として挙げられた。

委員会はさらに、この分野におけるウクライナの課題として、2026年から2030年の新たな汚職対策戦略・国家汚職対策プログラムの採択、NABUの捜査管轄の拡大、刑事手続法典上の手続面の障害の除去、NABUとSAPの自律性のさらなる強化を挙げている。

また、匿名を条件にコメントを提供した欧州委員会の高官は、「法の支配」分野における中間基準の重要性を強調し、「これは極めて重要である。なぜなら、この分野における中間基準の履行を裏付ける報告書は、私たちが交渉の個別の章の完了を開始できるようになる前に採択されなければならないからだ。したがって、国がゴールへ前進するためには、これは絶対に不可欠だ。まさにここでウクライナはさらに多くのことを行い、作業を加速させる必要がある」と主張した。

同人物は、欧州委員会はこれら改革の推進を支援するため、現在ウクライナ政権と一緒に「非常に集中的に」活動していると補足した。

報告書の基本的人権の分野の項目では、ウクライナの一般的な法的枠組みが「満足のいくもの」と評価されている。これは、少数民族の権利を保護する法律が採択され、軍事オンズマンの機関が設立されたことで説明されている。

課題としては、個人情報保護・市民パートナーシップに関する法制の採択、憎悪を動機とする犯罪の刑事罰化、児童・障害者のケアの施設依存からの脱却改革の継続が指摘されている。

経済基準・市場改革に関しては、欧州委員会は、ウクライナが「ある程度の」準備水準(編集注:5段階中下から2つ目)であり、「いくつかの」進捗を達成したと評価した。

マクロ経済において、2025年の実質GDP成長率は、エネルギーシステムの破壊や農業分野にとって不利益な気象条件のために1.8%に減速したと記されている。経常赤字はGDPの15.6%に拡大したものの、ウクライナ中央銀行の国際準備金は2026年中頃時点で510億ドルを超える高水準を維持していると報告されている。

一般政府セクターの全体的赤字は、国防分野の巨大なニーズ(GDPの42.8%)により、2025年にGDPの17.6%に達したと指摘されている。

欧州委員会は、同分野の主要な課題として、2026年から2027年のウクライナ支援クレジット・国際通貨基金(IMF)プログラムの枠内における条件の履行継続、国内歳入の動員、課税制度の簡素化改革、経済における国家シェアの縮小、国営企業のコーポレート化の継続を挙げている。

競争圧力に対処する能力については、ウクライナは「ある程度の」準備水準を有していると評価され、「良好な」進捗を示していると書かれている。

また、ウクライナ商業界の高い適応力、ハイテク防衛産業部門とITの拡大が指摘されている。

課題としては、発電システムの復旧と分散化の継続、人材不足を克服するための職業技術教育システムの強化が挙げられている。

第2クラスター「単一市場」の枠内では、機械製造に関する認定、市場監視、技術規制に関する法律が採択され、ACAA協定の交渉への道が開かれたことが指摘されている。

資本の自由な移動については、ウクライナがユーロ圏の単一決済空間に合流するための追加法制の採択の必要性が挙げられている。金融サービスでは、銀行規制がEUの要件に近づいていることから、準備は「ある程度」と「適度」、進捗は「良好」と評価された。

第3クラスター「競争力・包摂的成長」では、特にデジタル変革・報道分野で準備・進捗の双方が「良好」と評価されている。また、ウクライナが2026年1月1日から「ローム・ライク・アト・ホーム(国内同様のローミング)」の自由ローミング地域に正式に加盟したことが喚起されている。現在はeIDAS 2.0システムへの調和・サイバー強靭性の構築が進行中だという。

ウクライナは税制の分野においては、VAT・酒たばこ税に関する税法改正の採択により、「良好な」進捗を達成し、「ある程度」と「適度」の間の水準の準備だと評価されている。

関税同盟の項目(第29項)では、EU関税法典と適合したウクライナの新関税法案が第一読会で承認され、透明な競争を通じて国家関税庁の新しい長官が任命されたことで、ウクライナの「良好な」準備水準と「良好な」進捗との評価が行われている。

第4クラスターのグリーン課題と持続可能な連結性の枠組みでは、エネルギー分野で「良好な」準備水準と「良好な」進捗と評価されている。電力統合パッケージの部分的履行が実施され、市場運営者が任命され、エネルギー国営企業のコーポレート・ガバナンスが改善されたことが肯定的に評価されている。

環境・気候変動の分野(第27項)では、循環経済戦略の承認、生物多様性戦略の承認、更新された国別貢献(NDC2035)の採択などから、「ある程度」の準備水準だと評価された。

第5クラスター「資源・農業・結束」では、欧州委員会は、ウクライナの農業分野について「ある程度」の準備水準と「良好な」進捗だと評価し、農業支援法の採択を特筆した。

食品安全(第12項)のカテゴリーでは、獣医学法の更新、TRACESシステムの利用拡大から「適度な」準備水準だと評価されている。

第6クラスター「外交関係」では、特に外交・安全保障・防衛にて、ウクライナの「良好な」準備水準と「非常に良好な」進捗があると評価されている。ウクライナは「EUの共通外交・安全保障政策の声明・決定への高い合致水準を維持している」という。

安全保障・防衛・強靭性の分野では、欧州委員会は、ウクライナが「支援の受給者から、EUにとっての安全保障の経験・イノベーションの重要な提供者へと変貌を遂げた」と個別に言及している。

欧州委員会の高官は、立場の一致(第31項)に関して、欧州委員会はすでにEUとウクライナの防衛産業の統合の深化に向けて取り組んでおり、その一例がSAFEプログラムへのウクライナの参加だと述べた。

同高官は、「ウクライナはロシアの侵略に対する欧州の第一防衛線であり、それは私たちの防衛準備にとって極めて重要だ」と発言した。同人物は、この背景の下で、欧州委員会は候補国との安全保障・防衛分野の協力強化の問題を検討し、すでに重要な結果を達成していると補足した。

さらに同人物は、「ウクライナは著しい進捗を達成し、99%という非常に高い一致水準を維持している。これは、共通外交・安全保障政策の枠内と枠外における、ウクライナとEUの間の密接な協力・調整を示している。これは、国際場裏・二者間関係の双方において、緊密かつさらに深い協力・調整という新しい方針に対するウクライナの献身を示すものだ」と述べた。

同人物はまた、ウクライナのEU加盟は地政学的必須事項だと強調し、「ウクライナがEUを必要としているのと同じくらい強く、私たちはウクライナを必要としている」と強調した。

防衛産業統合の枠内では、2026年7月にウクライナと欧州委員会が戦略的防衛産業パートナーシップの作成に関する意向書・EU・ウクライナ防衛産業協定に署名したことが喚起されている。

また、無人機と電子戦システムの共同生産・開発に向けた「無人システム連合」が創設されたことも喚起されている。

サイバーセキュリティ・ハイブリッド脅威の分野では、2026年6月にEU理事会がウクライナにEUサイバーリザーブへのアクセスを付与したことが喚起されている。

欧州委員会は、報告書の総括として、戦時下であるにもかかわらず、ウクライナが「高い改革のダイナミクス」を維持していると強調している。

今後12か月のウクライナへのの主な要件としては、汚職対策システムの独立性の無条件の維持、国家公務員におけるオープンな試験の復活、司法改革の完遂、法の支配・基本的人権保護の分野における高い基準の遵守が挙げられている。

欧州委員会の高官は、報告書で使用されている具体的な表現、とりわけ加盟候補国の統合の期限に関連する「野心的」や「現実的」といった表現については、これらは非常に慎重に選ばれたと説明した。

ウクライナに関しては、欧州委員会は、2028年末までに交渉を完了するという政府の目標を「野心的」とみなしている。同時に、ウクライナが改革を加速させることができれば、その目標は「現実的」なものとなり得るとし、欧州委員会はその支援に努めるとしている。