国連総会、チョルノービリ原発事故の被害克服に関する決議採択
国連総会は10日、ウクライナ含む複数の共同提案国が主導した決議「チョルノービリ災害の被害の分析・緩和・最小化のための国際協力・調整の強化」を採択した。
賛成した国は、日本を含む97か国、反対は8か国、棄権は39か国だった。ウクルインフォルムのニューヨーク特派員が伝えた。
反対は、ロシア、ベラルーシ、中国、北朝鮮、キューバ、ニカラグア、ニジェール、米国。
決議文に対するベラルーシによる修正提案は全て否決された。
ウクライナのシビハ外相は、Xアカウントにて、同採択を歓迎するメッセージを掲載した。
シビハ氏は、97か国の国連加盟国の賛成に謝意を表明した。
また同氏は、今回の決議には、国連の文書に長年使われてきたロシア語由来の「チェルノブイリ」ではなく、「チョルノービリ」というウクライナ語に基づく名称が使われていることを指摘し、この採択によって国連文書を通じた正しい表記が紹介されるとしつつ、それだけではなく「ウクライナの人々に対する侵略国の犯罪と、世界の原子力セキュリティへの脅威」に注意を向けるものだと強調した。
同氏はさらに、ロシアは、衛星国であるベラルーシを使って、ロシアによるチョルノービリ原発施設への攻撃への言及を除外し、自らの犯罪を覆い隠そうとしたと指摘した。その上で同氏は、ベラルーシ修正案に賛成しなかった国々に対して謝意を伝えた。
なお、この決議は、チョルノービリ原発事故による長期的な深刻な影響と被災自治体及び地域のニーズを認識し、短期・長期的な被災地域の復興における国連、特に国連開発計画(UNDP)の重要な役割を強調している。
また決議では、2025年2月14日に、破壊された廃炉となったチョルノービリ原子力発電所を覆う新しい安全閉じ込め構造物が、ロシアの無人機攻撃により損傷したことについて、「数十年にわたり同施設の安全確保で達成してきた国際的進展が脅かされた」との「深刻な懸念」が表明された。また、同施設の復旧に向けた国際社会の支援の必要性が指摘されている。
決議は、諸国及びパートナーに対し、チョルノービリに関する国際協力を支援するよう呼びかけている。
さらに、前述の通り、この決議では、英語での「Chornobyl」の表記を、これまでの「Chernobyl」からウクライナ語のラテン文字転写に基づく表記に変更することが盛り込まれている。これに伴い、毎年4月26日に記念される「チョルノービリ原子力災害国際記念日」の名称も修正される。
決議は、各国、国連機関、国際組織、市民社会に対し、2026年にこの記念日を祝うよう要請し、2026年4月24日にチョルノービリ原子力発電所事故から40周年を記念する特別会合を開催することを決定している。