カラスEU上級代表、和平交渉における「プーチンの罠」にはまらないよう警告

欧州連合(EU)のカラス外務・安全保障政策担当上級代表は1日、ロシアが始めた戦争がどのように終わるべきかはウクライナが決めるべきだと述べた。

カラス氏がスロベニアのブレッド市で開催された戦略フォーラムの際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

カラス氏は、「キーウは攻撃を受けているが、欧州は受けていない。したがって、決めるのは彼らなのだ。(中略)私は、全ての戦争において戦略が必要だと思っており、その戦略はウクライナがこの戦争に勝つことであるべきだと考えている。勝利を目標にしなければ、戦争に勝つことは決してない」と述べた。

同氏はまた、欧州の一部の国では社会が「戦争に疲れている」と感じている可能性があると指摘した。しかし同氏は同時に、戦争を戦っているのは欧州ではなくウクライナであるのに、どうしてそのような「疲れ」が生まれるのかと疑問を呈した。

そして同氏は、この戦争が交渉にて終わることを望むウクライナ人の気持ちを理解していると述べ、「眠ることができない。友人が殺されている。どの家族も苦しんでいる。もちろん、あなたは疲れている。この戦争が終わってほしいと願っているのだ」と指摘した。

同氏は同時に、欧州の人々もこの戦争が終わって欲しいと願っていると述べつつ、「しかし、私たちが望むのは、それが永遠に終わることだ。ロシアに戦力を持って集まる時間を与え、その後、ミンスク諸合意やその後に見たような、より大規模な攻撃を行うための一時休止となってはならない」と強調した。

その他同氏は、ロシアの交渉戦術として、力による威嚇と、自らが所有したことの一度もないものを手に入れようとする要求について指摘した上で、プーチンの「罠」にはまらないよう警告した。

同氏は、その「罠」について、「それらの交渉において、彼らは軍事力で制圧していない領土すらも要求している。なぜこれが罠か? なぜなら、(編集注:その要求を受けて)皆が、ウクライナが何を放棄すべきかについて話し始めるからだ。しかし、ロシアはいかなる譲歩もしていないのであり、彼らこそが侵略者なのだ」と喚起した。

そして同氏は、戦争をより早く終わらせるためには、米大統領を含む、全てのリーダーたちがプーチン氏により強固に向き合うべきだと指摘した。

その際同氏は、「私たちは、トランプ大統領はあまり我慢強い人物ではないと聞いていたが、プーチンに対しては非常に我慢強いようだ」と発言した。

同時に同氏は、ロシアを交渉の席に着かせるための米国の努力を歓迎した上で、同時に、欧州の立場を米大統領に伝えることに成功した欧州の首脳たちを称賛した。

記者から、もしトランプ氏が和平合意の達成に成功した場合、彼をノーベル平和賞にノミネートするかどうか、と質問されると、カラス氏は、直接の回答を避けた上で、「幸いなことに、私がそのような申請をするわけではない」と発言した。

写真:EU