ウクライナの国家性維持のための一時的占領は受け入れられる代償=パヴェル・チェコ大統領
チェコのパヴェル大統領は、ウクライナがその国家性と国民の命を守るために、一部領土の一時的占領は受け入れられる代償だとの見方を示した。
パヴェル大統領がBBCとのインタビュー時に発言した。
パヴェル氏は、「当然、西側から今すぐ全ての被占領地を解放するようウクライナに圧力をかけることはとても不正義なことである。なぜなら、私たちはウクライナ人、ネイション全体を破滅させたくはないからだ。私たちは、彼らに生き残って欲しい。私たちは、彼らが独立した主権ある国として生き残って欲しい。独立した自律的な国家としてのウクライナの再生の代償があり、その代償が、一部の領土が、法的に承認されることなく、一時的に占領されることを受け入れるというものであるならば、そうしようではないか。しかし、それらの被占領地を法的にロシア領と認めることは決してない」と発言した。
また同氏は、多くの犠牲と破壊を伴わずに被占領地からロシアを追い出す可能な手段は存在しないとし、なぜならロシアのような甚大な軍事力と人的能力を持つ国で、しかももう1つの巨大な経済大国である中国がロシアを支えている中だと、当然ながらその国に勝つのは難しいからだと説明した。
同氏は加えて、その中でウクライナを軍事的に支え続ける必要があると強調した。同氏は、チェコのウクライナへの弾薬確保のイニシアティブで昨年150万弾近い大口径砲弾が供与されたと強調した。そして同氏は、今年のその数は180万弾となり、その内80万弾は155ミリ口径のものとなると伝えた。同氏は、そのイニシアティブはウクライナに毎月平均で8万弾の弾薬の提供を保証しているとし、それは防衛の成功にとって著しい数であり、計画の余地をもたらしていると指摘した。
同時に同氏は、この戦争は戦場で勝利することはできないと指摘し、現在はるかに強力な手段は金融、経済、その他の手段であり、欧州はそれらを米国と一緒に行使することができると述べた。同氏はさらに、ロシアに対するはるかに強大な経済圧力は欧州と米国双方にとっての利益であるとし、なぜならそれは「人を殺す一連の手段ではないが、非常に強力な力だからだ」と指摘した。同氏は、ロシア経済の現在のような状態では、同国は経済圧力を長期にわたって耐えることはできないとし、だからこそロシアにはいずれ、交渉の席に着く以外の他の選択肢が残らなくなるだろうとの見方を示した。
同氏は加えて、交渉の必要性に言及しつつ、プーチン氏が唯一の交渉相手と見なすアメリカ大統領だけでなく、プーチン氏がプロセスから除外しようとしている欧州も交渉に参加する必要があると指摘した。そして同氏は、その交渉は欧州の安全保障全体に関わることであるため、欧州は交渉のテーブルに着かねばならないと訴えた。