キーウで汚職対策機関権限縮小法案への拒否権発動を求めて市民が抗議集会

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キーウのイヴァン・フランコ記念劇場前の広場にて22日、同日最高会議(国会)が採択した汚職対策機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」の権限縮小を定める法律に反対する市民が抗議集会を開催し、ゼレンシキー大統領に同法案への拒否権を発動するよう要求した。

集会には、2000人以上が参加し、「ウクライナはロシアではない」「法律に拒否権を!」などとシュプレヒコールをあげた。多くの講義者は、自作のプラカードを持ってきていた。ウクルインフォルムの記者が伝えた。

キーウの汚職対策機関権限縮小法への抗議集会の様子 写真:ダニーロ・アントニューク/ウクルインフォルム

集会を呼びかけたのは退役兵のドミトロー・コジャティンシキー氏。同氏は、政党や活動家が集会を支持するのは控えるようにと要請した。同氏は、「集会はシンボルや、自分の意見を述べたがる演説者を除いて行うことにしよう」と呼びかけた。

また、同氏は、Xにて、「それに拒否権を発動する要求での大統領への(編集注:オンライン)請願が始まった。しかし、その請願が確定するまでに、彼がその法案に署名をする可能性はある。そのため、私たちに時間はない…」と書き込んだ

集会には、最高会議で同法に反対票を投じたヤロスラウ・ジェレズニャク議員やヤロスラウ・ユルチシン議員も参加したという

集会参加者たちは、大統領に対して同日採択された法案に拒否権を発動し、汚職対策機関の独立の破綻を認めないよう要求している。

また、同様の集会は、西部リヴィウ、南部ドニプロでも開催されている。

これに先立ち、SBU関係者が同日、SBUと検事総局は、NABUへの「ロシアの影響力を排除」する特殊作戦を実施していると伝えていた。またSBUは、現職最高会議(国会)議員であるフェージル・フリステンコ氏に、国家反逆罪の容疑を通知したとも発表していた。SBUは、フリステンコ氏はロシア連邦保安庁(FSB)のトップエージェントだと主張している。

同時に、特別汚職対策検察(SAP)は21日、ウクライナの保安庁(SBU)がSAPのもとで、国家機密法遵守の調査を行ったと報告した。SAPは、今回の措置は、現在NABUとSAPが捜査している多くの刑事事件における秘密裏の捜査活動に関する情報の漏洩に繋がるおそれがあるとの見方を示している

SBUは、SAPの家宅捜査時に、SBU職員が秘密の捜査情報にアクセスしたとする指摘を否定。NABUもまた、SBUによる主張に反論している

G7大使ウクライナ・サポート・グループは21日、SBUがNABUを対象として、ロシアとの繋がりに関する捜査を発表したことにつき、深刻な懸念を表明していた

ウクライナ最高会議は22日、ウクライナの政権高官の汚職犯罪捜査・起訴に特化した法執行機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」の権限を縮小する法案を採択した。

NABUは、同法案につき、「直前に行われた修正はSAPの独立性が事実上破壊され、NABUとSAPの活動を検事総長に従属させるものだ」と訴えていた。また、クリヴォノスNABU局長は、同日記者会見を開き、ゼレンシキー大統領に対して、今回最高会議が採択した法案に署名しないよう要請している

欧州連合(EU)のメルシエ欧州委員会報道官は22日、ウクライナの汚職対策機関「国家汚職対策局(NABU)」と「特別汚職対策検察(SAP)」はウクライナにおける改革議題にとって決定的な意味を持っており、その独立は、市民社会の信頼を維持する上でも、維持されねばならないと発言した