法執行機関が汚職捜査局職員を対象に少なくとも70件の家宅捜索を実施=ウクライナ国家汚職対策局
国家汚職対策局(NABU)は、21日にウクライナ保安庁(SBU)と検事総局が、NABU職員に対して、少なくとも70件の家宅捜索を実施していると報告した。
NABUがテレグラム・チャンネルで報告した。
NABUは、「現時点で、SBUと検事総局によるNABU職員関連の家宅捜索が少なくとも70件判明している。家宅捜索は、少なくともNABUの15人の職員を対象としている。現存の情報では、捜査行動は裁判所の承認なく行われている」と伝えた。
NABUはまた、この捜査行動の根拠は、そのほとんどが個人の交通事故への関与とされているが、一部の職員に対しては侵略国との関連の可能性が挙げられていると報告した。その上で、NABUは、「それら事実は相互に関連するものではない」と指摘している。
さらに、NABUは、SBUの主導で、国家機密へのアクセス権を持つNABU職員、および秘密の捜査活動を行う職員に対する、国家機密保護状況への緊急調査が開始されたと報告している。その際NABUは、「この調査の結果、SBUはNABUと特別汚職対策検察(SAP)が進行中および計画中の作戦行動と捜査行動に関する情報を入手する可能性がある。この情報の漏洩は、捜査活動および進行中の捜査を破綻させるおそれがある」と警告している。
また、国家特殊通信局による、NABUの技術インフラを対象とした計画検査も別途進行中だという。
その他NABUは、実行された家宅捜索の1つで、「抵抗がなかったにもかかわらず」NABUの捜査官に対して物理的な暴力が行使されたと伝えている。
さらにNABUは、「当該行為が開始された時点で、NABU局長は英国への公務出張中であり、具体的には、外相との会談が予定されていた。局長は、直ちに訪問を中断してウクライナに帰国することを決定した」と報告した。
現在、NABUは7月21日の出来事の状況について内部調査を行い、職員への力の行使を含む、当該行為の法的根拠を明らかにしているところだという。
NABUは、侵略国の影響力を行使するエージェントの存在のリスクは、いかなる政権機関にとっても依然として緊急性のあるものだとしつつ、しかし、それが機関全体の活動を停止させる理由にはならないと強調している。
これに先立ち、SBU関係者が21日、SBUと検事総局は、NABUへの「ロシアの影響力を排除」する特殊作戦を実施していると伝えていた。またSBUは、現職最高会議(国会)議員であるフェージル・フリステンコ氏に、国家反逆罪の容疑を通知したとも発表していた。SBUは、フリステンコ氏はロシア連邦保安庁(FSB)のトップエージェントだと主張している。
同時に、特別汚職対策検察(SAP)は21日、ウクライナの保安庁(SBU)がSAPのもとで、国家機密法遵守の調査を行ったと報告した。SAPは、今回の措置は、現在NABUとSAPが捜査している多くの刑事事件における秘密裏の捜査活動に関する情報の漏洩に繋がるおそれがあるとの見方を示している。