ウクライナ支援の有志連合の国々、ロシアの戦時経済に対する措置の強化で合意

10日開かれたウクライナ支援の「有志連合」首脳会合後、英国、フランス、ウクライナの3か国首脳は、ロシア戦時経済に対する措置の強化と、ウクライナへの軍事・財政支援について合意したと発表した。

ウクライナ大統領府広報室が以下の内容の3首脳声明を公表した

7月10日、有志連合の参加国と国際機関の首脳たちは、ウクライナへの支援強化とロシアへのさらなる圧力について議論するため、ロンドン、ローマ、そしてオンラインで会合を開いた。

参加者は、米国のケロッグ・ウクライナ担当特別代表と、グラム上院議員、ブルメンソル上院議員の参加を歓迎した。米国代表が有志連合会合に参加したのは今回が初めてである。

首脳たちは、メローニ伊首相がウクライナ復興会議を開催したことを歓迎。この会議から、ゼレンシキー宇大統領や他の首脳たちが有志連合会合に参加した。

首脳たちは、プーチン大統領によるウクライナへの違法かつ不当な侵攻が、国連憲章の深刻な違反であり、彼らの安全保障上の利益に対する脅威であることを改めて強調した。首脳たちは、ウクライナの主権、独立、領土一体性への揺るぎないコミットメントを表明した。

首脳たちは、平和達成に向けた米国の努力へのゼレンシキー大統領の支持を高く評価した。

ウクライナが完全かつ無条件の停戦に合意してから4か月が経過した。この間、ロシアはウクライナの民間人に対する攻撃を強め、侵攻開始以降最も激しい空撃の結果、700人以上が死亡し、3500人以上が負傷した。

声明の中で、有志連合の国々の首脳たちはロシアに対し、民間人への攻撃を停止し、公正かつ永続的な解決を達成するため、完全かつ無条件の停戦義務を負うよう呼びかけた。

また、首脳たちはウクライナとロシア間のさらなる平和交渉を支持し、トランプ米大統領が米国および他の緊密なパートナーの支援を受けて平和プロセスを開始する努力を高く評価した。

さらに、ロシアの戦時経済に対する措置の強化に合意。これには、ロシアの石油・天然ガス輸出、影の船団、ロシアの軍事機構が利用する第三国からの供給を含む、ロシアのエネルギー・金融部門に対する、全ての関係者との調整によるさらなる制限措置の策定が含まれる。

有志連合の国々の首脳たちは、強力なウクライナ軍がウクライナの主権と安全保障の主要な保証であると強調した。首脳たちは、ロシアの侵略が続く限り、ウクライナが現在の戦いで自衛のために必要とする軍事・財政支援の提供を優先していくことで一致した。

また、首脳たちは、2024年にNATOが負った義務に沿って、2025年に少なくとも400億ユーロ相当の軍事支援をウクライナに提供する合意を再確認した。

さらに、首脳たちは、ウクライナの将来の軍隊への支援を加速するために、ウクライナ防衛問題コンタクト・グループ、NATO対ウクライナ安全保障支援及び訓練組織(NSATU)、能力関連の諸連合を通じて協力することで一致した。

支援の主要な優先課題は、ウクライナの防空分野における統合された能力の強化だとある。ロシアの無人機による大規模攻撃を阻止するためのさらなる支援と、迎撃用無人機の生産資金の増加につき合意された。

有志連合の国々の首脳たちは、ウクライナの長期的な安全保障と、将来のロシアからの武力侵攻を抑止し、自衛する能力の構築へのコミットメントを再確認した。

首脳たちは、戦闘停止後の抑止戦力「多国籍軍ーウクライナ」)の展開、ウクライナの空域・海域の安全確保とウクライナ軍の再建に関する、綿密な作戦計画の策定を歓迎した。

加えて首脳たちは、計画活動を支援するための英国とフランス主導の作戦本部の設置、抑止戦力への貢献関係のパートナーのコミットメント、そしてウクライナがそのような抑止戦力を招待し、必要に応じて参加国と協定を締結する用意があることを歓迎した。

声明にて、首脳たちはウクライナへの財政的・経済的支援確保の重要性を強調した。2026年にウクライナへの集団的な財政支援計画を策定することで合意された。

首脳たちはさらに、黒海における自由で安全な航行がウクライナ経済を強化し、食料安全保障を回復させることを認識し、黒海の機雷除去努力を支持する用意があることを再確認した。

さらに、ロシアがウクライナに与えた損害に対して支払いを行うことを確保するためのあらゆる合法的な方法を引き続き分析することで合意された。これには、ロシアの凍結されたソブリン資産からの収益のさらなる利用選択肢の検討も含まれる。

なお、10日、英仏主催で、ウクライナ支援に関与する「有志連合」の首脳会合がローマ、ロンドン、オンラインのフォーマットで開催されていた。

日本の石破首相は、10日に英国とフランスの主催で開催された「ウクライナに関する有志連合オンライン首脳会合」に際して、書面でメッセージを発出していた。その際、石破首相は、「平和が維持されるためには、再侵略を抑止する和平の枠組みの構築が重要」と強調した上で、今回の有志連合首脳会合は「正に時宜にかなったもの」だと表明した。