チェコ大統領、ロシアが戦争に「勝利している」という主張を否定

チェコのパベル大統領は、現在ロシアがウクライナとの戦争に勝利しているという主張を否定した。

同氏がBBCとのインタビューで語った

パベル大統領は、「ロシアの主張に対しては、私は『勝利とは異なる姿をしている』と言いたい。ロシアにはいくつかの戦術的成功がある。彼らはウクライナ領土の一部を制圧することに成功したが、その進軍は多大な犠牲と損失が代償となっている。土地を制圧するためには非常に、非常に高い代償を払っていると思う」と述べた。

また同氏は、ロシアは戦場で何らかの現実的な成功を目にする限り、当然ながら和平交渉に関心を示さないだろうと強調した。

そして同氏は、「彼ら(ロシア)は、戦闘によって交渉よりもはるかに多くのものを達成できると考えている。このため、プーチン大統領は指揮官たちにウクライナへの最大限の圧力をかけるよう指示している」と指摘した。同氏はまた、ロシアは、ウクライナ側の抵抗の意志を打ち砕くために、前線での行動と同時に、後方の人々にテロを行っていると発言した。

同時に同氏は、ウクライナが覚悟と勇気を示しており、ロシア軍に多大な損害を与えているとも述べた。

その際同氏は、「ウクライナは戦う決意に満ちているが、限られた人口ではそれほど多くの兵力を動員することはできない。彼らはより完璧な技術とイノベーションの助けを借りてのみ成功することができるし、彼らは正にそれを行っている。私たちの支援を受けて、ウクライナは国内の兵器生産を継続的に増やしている。彼らはほぼ毎日、新しい戦術を考案している。彼らは新しい装備を開発している。しかし、もちろん、これだけではロシアに迅速に勝利するには不十分だ」と指摘した。

そして同氏は、もし戦争が現在のままで続けば、それは何年も続くであろうと予想した。同氏はその際、「そのような状態は誰にとっても受け入れがたい。だからこそ私たちは、一方では戦争中のウクライナを支援し、ロシアに戦場に勝利がないことを示すと同時に、ロシアに解決策は戦場ではなく交渉の席でのみ見出せると理解させるべく、最大限の圧力、外交的、政治的、経済的、財政的な圧力をかけるよう努めているのだ」と発言した。

その他、現在のロシアの夏季攻勢がこの戦争最後の大きな攻勢となり、その後ロシアがようやく本格的な交渉を開始するという見方は、パベル氏は信じないと述べた。

その際同氏は、「個人的に、私はそれを信じていないし、ロシアの主張は全く信頼できない。彼らがウクライナを完全に打ち負かすことを目標にしていないと言う時、彼らが実際には何を望んでいるのかを理解するためには、プーチン大統領やセルゲイ・ラブロフ(露外相)の発言を聞くべきである。もし彼らがウクライナがロシアの要求全てに従うことを望んでいるなら、それは戦場の譲歩ではない。それは単に、ウクライナの完全な敗北であり、その領土の完全な支配、自らの条件の確立、ウクライナをモスクワの意志に服従させることである」と強調した。

また同氏は、西側諸国の団結した制裁は非常に強力な手段であり、遅かれ早かれ経済状況の著しい悪化によって、ロシアに交渉を検討させることになるだろうとの見方を示した。

同氏は加えて、欧州が交渉のテーブルに着き、またウクライナに積極的に軍事支援を提供すべきだと述べた。同時に、同氏は、プーチンはトランプ米大統領をロシア・ウクライナ戦争の和平交渉における唯一の可能な対話相手と見なしていると指摘した。

被占領下にあるウクライナ領の解放に関しては、パベル氏は、現在ウクライナは西側諸国からのあらゆる支援があっても、多大な人的犠牲なしに短期間でそれらを解放することはできないとの見方を示した。また、西側諸国がウクライナに全ての領土の即時解放を促すのは不公平だと述べた。

そして同氏は、「私たちは彼ら(ウクライナ人)が生き延びることを望んでいる。独立した主権国家として生き残ることを望んでいる。そして、独立した自治国家としてのウクライナを再建するための代償があるのだ…。もしその代償が、領土の一部が一時的に占領されることを受け入れることであり、その事実を法的に認めることがないのであれば、そうなれば良い。しかし、私たちは法的に、これらの占領された領土をロシア領とは決して認めないのだ」と発言した。

同氏はまた、ロシアは様々な主張をしながら、被占領地の人々のことは、自国民と同じようには気にかけていないと指摘した。その際同氏は、「占領地域はロシアにとっての一種の重荷であり、主に政治的道具として利用しているのだと私は思っている。オセチアやアブハジアを見ると良い…。それらの地域はロシアよりはるかに貧しく、ロシア政権はそこの住民を二級市民とみなしているため、生活水準を少しも引き上げようとしていない」と述べた。

そして同氏は、まずロシアを交渉の席に着かせ、停戦に合意し、それから和平協定について交渉する必要があると強調した。