チェコ外相、ロシアの「覚書」案につき「クレムリンは1938年のナチスが望んでいたことを望んでいる」

チェコのリパフスキー外相は3日、ロシアがウクライナに渡した、停戦に向けての「覚書」案にコメントした上で、ロシアは信頼できないと指摘した。

リパフスキー外相がXアカウントにてコメントした

リパフスキー氏は、「私たちは、ロシアの『和平』計画シリーズの内のさらなる1つを目撃している。それは、これまでのものと同じである。騙されないようにしよう。ウクライナは降伏しなければならず、西側は譲歩しなければならない(編集注:という内容)。ナチスは1938年にそれを望み、クレムリンは2014年以降それを望んでいる」と指摘した。

そして同氏は、プーチンは新しいものは何も提案していないとし、ロシアを信頼することはできないと指摘した。

これに先立ち、ロシアのモスクワ・タイムズは、2日のイスタンブル交渉の際にロシア代表団がウクライナ代表団に渡した「覚書」案の内容を報じていた

ロシアの1つ目の停戦案によれば、ウクライナはロシア軍が部分的に占領するウクライナの4つの州(ドネツィク州、ルハンシク州、ザポリッジャ州、ヘルソン州)から自軍を段階的に撤退させなければならないことになっている。ウクライナはまた、ロシアとの国境からも「合意した」距離だけ自軍を後退させることになるという。

なお、これにつき、ラジオ・スヴォボーダロシア語版は、ロシアのタスの報道を元に、同「覚書」案では、ヘルソン州とザポリッジャ州は「ノヴォロシア」として記述されていると伝えている。そして、ロシアはウクライナに対して、これらの領土から停戦後30日間以内に撤退することを提案していると報じられている。

ロシアの第2停戦案によれば、ウクライナの被占領下諸州をロシアに明け渡すことを定めてはいないものの、以下の条件が含まれているという。

・ウクライナでの動員の禁止及び動員解除の開始

・ウクライナへの国際的な武器・インテリジェンス供給並びに衛星通信提供の停止

・ロシア領内での「工作活動」停止の保証

・双方向の総合的恩赦と拘束された民間人の解放

・戒厳令解除から100日以内のウクライナでの大統領選挙と最高会議選挙の実施

さらに、この第2案には、ウクライナにおける第三国の軍の駐留を不可能にすることや、国境からの撤退に加えて、ウクライナ軍の移動を禁止する条件が含まれているという。

加えて、ロシアの「覚書」案には、ロシアが以前から提示している以下の要求も含まれているという。

・ロシアが占領するウクライナ領土を国際的にロシア領として承認すること

・ウクライナによる軍事同盟・連合への加盟断念

・ロシア語のウクライナにおける公用語としての地位の確立

・ロシア・ウクライナ間のあらゆる制裁の解除及び新たな制裁導入の断念

・ウクライナ経由のロシア産天然ガスの通過再開

・経済・外交関係、輸送の再開

・戦争による損害に関連する請求の相互放棄

・ウクライナ軍の兵力と構成の制限

・「ナチズムとネオナチズムの美化とプロパガンダ」の禁止、民族主義政党の解散

・ウクライナの非核化地位の確認

・ロシア正教ウクライナ支部の制限解除

なお、2日、ウクライナとロシアの代表団がイスタンブルで第2回交渉を開催していた。ウクライナのウメロウ代表団団長は、ロシア側が同日ウクライナに対して自らの文書(編集注:覚書案)を手交したと伝えていた。ウクライナ側は、今後1週間同文書を分析していくという。