ウクライナ政権関係者、和平案「平和の公式」の評判を下げる目的のロシアのナラティブを説明

現在ロシアの外交官や情報機関は、ウクライナが露宇戦争解決に向けて推進する和平案「平和の公式」の評判を下げることを活動目的の1つとしており、その際複数のナラティブを拡散している。

ザリウナ大統領府長官顧問がテレグラム・チャンネルで指摘した

ザリウナ氏は、現在ロシアが広めている主要ナラティブは、「ロシアは平和を愛している」「ロシアには協議の準備がある」「ウクライナがロシアをプロセスに関与させたがらない」などというものだと指摘した。

その際同氏は、ロシアが拡散するナラティブの例として、「西側はロシアが協議を拒否していると嘘をついている」「ロシアは現実に基づいた協議に前向きである」「ウクライナと西側は平和に関する真剣な対話を行う準備がない」「ロシアはウクライナの『平和の公式』を推進するイベントには参加しない」「『平和の公式』はロシアへの最後通牒であり、完全に袋小路のフォーマットだ」を挙げた。そして同氏は、ロシア側の主な目的は、現在平和に関するどのような対話もロシアとでなければ不可能だ、という見方で国際社会を説得することだと指摘した。

これに対して同氏は、「しかし、ロシアとの協議がどのように終わるのかは、皆覚えている。私たちと世界にとって今重要なことは、公正な平和というアイデアで団結し、ビジョンを策定し、ロシアを事実の前に据えることである。錯乱した殺人者と事を構える上では、そのように行動するしかない」と強調した。

これに先立ち、ウクライナのゼレンシキー大統領は、6月にスイスで開催される「平和サミット」にて世界の主要な国々が一致することになる各種決定について、「サミット」後にそれにつきロシアと協議するためのフォーマットが見出されることになると発言していた

スイス政府は4月10日、今年の6月15、16日に、ロシアからの全面侵略を受けるウクライナの平和達成を目指す「平和サミット」を主催すると発表していた。アムヘルト・スイス大統領は、同サミットでは人道、核安全保障、航行の自由、食料安全保障という4つの議題が提起されると述べている

ウクライナのゼレンシキー大統領は3月20日、「ルールに基づいた国際秩序」を重んじる世界の国々に対して、ウクライナがスイスとともに準備している「グローバル平和サミット」に招待している

ウクライナは、現在のロシア・ウクライナ戦争の和平案として10項目からなる「平和の公式」を推進している。「グローバル平和サミット」は、同案の実現に向けて開催される首脳会談。

欧州連合(EU)のボレル外務・安全保障政策担当上級代表は4月18日、6月の平和サミットの際には、国際社会がロシア・ウクライナ戦争の終結のあり方について自らの視点を調整することになると指摘した。また同氏は、その際には、ロシアが侵略国であることは忘れてはならず、公正な平和はウクライナの条件の下でのみ可能だと発言した。