EU関係者、米国政治とは関係なくEUの対ウクライナ支援は続くだろうと指摘

欧州連合(EU)高官は、ウクルインフォルムに対して、米国では、複雑な政治プロセスによりウクライナに対する600億ドル強の財政・軍事支援パッケージの採択ができていないが、それがEUによるウクライナ支援を続けるという立場は変えていないと指摘した。

8日、ブリュッセルにて、匿名のEU高官がウクルインフォルムの特派員に発言した。

同人物は、「私たちは、米国で行っていることを見ている。それは、非常に『米国的な』政治である。彼らは、メキシコとの国境の移民管理により多くの資金を求めており、600億ドルの対ウクライナ支援パッケージを保留している。それは悪いニュースだ。しかし、だからこそ、来週私たちがEUにて、EU加盟協議開始という私たちの政治的支援や、ロシア孤立を意味する外交的支援、ウクライナへの軍事機材の供与やウクライナ軍人の訓練という軍事支援を継続し、倍加する決定を採択することが非常に重要となる」と発言した。

同氏はまた、「米国での議論はしばしば懸念を覚えさせる…。私たちは、トランプが選挙で勝ったら、ウクライナ関連はどうなるのだ、と質問されている。それに対する可能な返事は1つしかない。ウクライナ情勢とロシアの侵略は、欧州にとって存立危機的脅威であり、そのため、新しい米政権が何をするかとは関係なく、私たちは作業し続け、ウクライナを支援し続けていく、というものだ。もうすでに、現政権でも、米国は一定のテストを受けている。なぜなら、少なくとも、この時点で、ウクライナに対して、財政・軍事支援が割けられていないからだ」と発言した。

さらに同氏は、月曜日のEU閣僚級会合の議題には、3つの主要な項目が含まれているとし、それはロシアの対ウクライナ侵略、中東危機、サヘル地域情勢だと指摘した。そして、ウクライナ情勢協議の際には、ウクライナのクレーバ外相が加わり、ウクライナの現状について、EU加盟国の閣僚に報告すると伝えた。

同氏は、「専門家たちは、この状況を軍事均衡と呼んでおり、軍事供与のような要因に左右され、どちらかに傾きかねないものだと形容している。私たちは、それを歴史、過去の戦争で見てきた。それ故、来週、私たちがウクライナのための軍事支援を決めることがとても重要なのだ」と強調した。

また同氏は、現在ウクライナ情勢は重要な時を迎えているとし、ロシアは、損耗を数えずに、主導権を奪って、ドネツィク州アウジーウカを包囲しようとしていると指摘した。

そして同氏は、「ロシアはアウジーウカを包囲しようとすることで、現在人員、装備に多大な損耗を被っている。その点に軍事的意味は全くなく、その作戦は、間違いなく、クレムリンの政治的必須事項なのだ。プーチンはウクライナにおいて、重大な敗北を重ねており、すでに何万もの若者を失った。『何のために?』との質問が生じている。それは、プーチンが答えねばならない質問だ」と発言した。

なお、11日、ブリュッセルにて、EU外務理事会が開催される。そして、14、15日には、ブリュッセルにて、EU諸国の首脳が集まり、ウクライナのEU加盟交渉開始に関する問題と、2024〜2027年EU多年次予算での総額500億ユーロとなる、戦時と戦後復興時のウクライナへの財政支援のためのウクライナ基金の設置問題が審議されることになっている。