ウクライナ国会、憲法裁裁判官選考プロセス改正法案を採択 国際専門家に強い権限付与

ウクライナ最高会議(国会)は27日、憲法裁判所の裁判官候補の選考方法を定める法律を採択した。

ジェレズニャク最高会議野党会派「声党」議員がテレグラム・チャンネルにて報告した

ジェレズニャク氏は、293名の議員が同法を支持したと報告した(過半数は226)。

また同氏は、「重要な欧州統合のためのイニシアティブだ。欧州委員会のウクライナのEU加盟に向けた最初の勧告の履行となる」と補足した。

最高会議に登録された法律本文と説明文によれば、同法は、憲法裁判所の裁判官選考を、競争原理に基づいて補完することを目的に策定されたものだという。

同法によれば、憲法裁判所の裁判官の選考開始が発表され、応募が行われると、まず最高会議の関連委員会にて選考対象として認めるかどうかにつき書類審査が行われることになる。

また、今回の法律により、憲法裁判官選考のための「専門家諮問グループ」の形成とその権限が定められる。

この「専門家諮問グループ」は6名から構成され、その内の3名は国際パートナーを代表する人物が務め、さらにその内の1名は、 欧州評議会の司法諮問機関である「法による民主主義のための欧州委員会(ベニス委員会)」の代表者が担う。そして、残りの3名がウクライナの国内専門家が務める。

「専門家諮問グループ」は、候補者の公正さ、専門性の調査を行い、その後、同グループの6名の専門家が、個々の候補者につき投票を行う。

その際、候補者への賛成票と反対票が同数だった場合には、同グループは決定を採択することができず、再投票が行われる。

再投票の場合にも賛成票と反対票が同数だった場合には、同グループの国際専門家の少なくとも2名の票が「決定的な票」として扱われて、決定の採択に至る。

また、グループの6名の専門家の投票結果は記名で公開され、憲法裁判所の公式ウェブサイトに公開される。

そして、この「専門家諮問グループ」から憲法裁判所裁判官候補者評価リストが届いてから、選考委員会、委員会、裁判官評議会が評価リストに掲載された候補者と面接を行うことになる。

なお、2022年6月、欧州委員会は、ウクライナへの欧州連合(EU)加盟候補国地位付与の勧告に並び、今後ウクライナにより行われる課題のリストを公開していた。同リストには、主に、法の支配強化と汚職対策の分野の課題が記されており、その中には、「ウクライナ憲法裁判所の選考手続き法の採択と履行。ベニス委員会勧告に従った公正性・専門性評価を基本とした事前選考プロセスを含む」との課題も含まれていた。