「世界は恐れるべきではない」=ゼレンシキー宇大統領、ロシア内乱にコメント

ウクライナのゼレンシキー大統領は24日、ロシアのプリゴジン氏率いる傭兵集団「ヴァグネル」がロシア国内で反乱を起こしていることにつき、世界はロシアの混沌を恐れるべきではなく、ウクライナは欧州を守ることができると発言した。

ゼレンシキー大統領が同日夜の動画メッセージで発言した

同氏は、「今日は、静寂は全くあり得ない日だ。そして、確実にリーダーシップを必要とする日でもある。今日、世界は、ロシアの首脳が何もコントロールしていないことを目撃した。全くもって何も、だ。完全な混沌である。予想可能なものは全くない。そして、それは武器のあふれるロシア領内の出来事だ」と発言した。

そして、同氏は、ロシア首脳陣は「自らの幻想の力と、蓄えてきた嘘で勘違いを犯した。クレムリンの人々は、あらゆるテロ、あらゆる愚かな行為に向かう能力はあるが、必要なコントロールの1%も保障できないのだ。そして、彼ら自体が本当の問題である」と指摘した。

また、同氏は、ロシアの現政権は1日で100万人都市を複数失い、「全てのロシアのマフィア、傭兵、オリガルヒ、その他の皆の者に、ロシアの町や、おそらく武器庫も、制圧するのがいかに簡単かを示したのだ」と指摘した。

加えて同氏は、現在、世界の誰もが現状を恐れないことが非常に重要だと発言した。同氏は、「今、リーダーたちの行動全てが歴史的なものとなり得る。ジャーナリストの言葉1つ1つが金の価値を持つ。問題の源泉を明確に伝えるべきだ。もし世界の誰かが状況を見過ごそうとしたり、クレムリンがコントロールを回復できるという幻想に溺れようとしたりしたら、問題を次の混沌の、より危険な突破口へと先送りにするだけである」との見方を示した。

そして同氏は、「世界は恐れるべきではない」とし、「私たちは何が私たちを守っているか知っている。私たちの団結のみだ。ウクライナは欧州をロシアのどのような戦力からも確実に守ることができるし、誰がそれを指揮しているかは重要ではない。私たちは、守る。欧州の東端は、私たちの防衛のみによって維持されている。正にそのために、私たちの防衛支援はいずれも、あなた方の防衛への支援、自由世界の皆への支援なのだ」と強調した。

さらに同氏は、ロシア語に切り替え、「クレムリンのかの人物は、明らかに非常に恐れており、おそらくどこでに隠れており、現れない。私は、彼がモスクワにいないと確信している。どこかに電話をかけ、何かを頼んでいるだろう。彼は、自分が何を恐れているかを知っている。なぜなら、彼自身がその脅威を作り出したからだ。あらゆる悪、あらゆる喪失、あらゆる嫌悪、彼は自分でそれを拡散しているのだ。彼が自分の塹壕の間を走り回ることができる時間が長ければ長いほど、あなた方、ロシアに関わりのある者皆が、より多くのものを失うことになる」と指摘した。

そして同氏は、「私たちウクライナ人は何をするだろうか。私たちは、自らの国を守っていく。私たちは、自らの自由を守っていく。私たちは、黙らない。私たちが何もしないということはない。私たちは、勝利することができる。そして、勝利は訪れる。私たちのこの戦争での勝利は確実だ」と強調した。

その上で同氏は、ロシア国民に対して、「あなた方は何を行う?」と問い、「あなた方の軍がウクライナの大地に長くいればいるほど、彼らは後にロシアにより多くの崩壊をもたらすだろう。その人物がクレムリンにいるのが長ければ長いほど、より多くの大災害が生じるだろう」と指摘した。

これに先立ち、23日、ロシア連邦保安庁(FSB)は、傭兵集団「ヴァグネル」のトップであるプリゴジン氏が武力反乱を呼びかけたことにつき刑事捜査を開始していた。

同日、プリゴジン氏は、ロシア正規軍がヴァグネル傭兵の陣地に対して攻撃を仕掛けたと発言。露国防省はこれを否定していた。

写真:大統領府