ウクライナのノーベル平和賞受賞者「私たちは改革を戦後に先送りすることはできない」

2022年にノーベル平和賞を受賞したウクライナの「市民自由センター」のマトヴィーチューク所長は、ウクライナの民主的改革は戦後に先送りしてはいけないと発言した。

マトヴィーチューク氏が、ウクルインフォルムへのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。

記者から、ウクライナが真に民主的な国家と変貌する上で最大の脅威は何だと思うかと尋ねられると、マトヴィーチューク氏は、全面戦争が始まって以降、「人々の意識に甚大な変動が生じて、人々が、効果的に活動する国家機構を有すことの重要性や、国家が自らを代表することの幸せを理解し始めている」と指摘した。

また同氏は、「私たちは、正義を戦後に先送りできないのと同様、改革も戦後に先送りすることはできない。私たちにはそのような余裕はない。世界は大きく変わっている。もし私たちがこの先進国の文明的空間へと飛び込みたいのであれば、私たちは戦時中も民主的変革を実行しなければならない。誰も私たちを待ちはしない」と強調した。

さらに同氏は、「2022年、私たちは、欧州連合(EU)の加盟候補国地位を受け取った。それは、ウクライナの何らかの地政学的主体への参加に関する申請書の話ではない。その申請書は、ウクライナがここ、ウクライナにおいて、一人一人の人権が保護され、政権が報告を行い、盗みを働かず、警察は学生の平和なデモに暴力をふるわず、あなたが裁判所へ行って、そこでは公正な判決が下されるということが確信できる、そんな社会を築く、そういうことの申請書なのだ。そして私たちは、どんなに困難であろうとも、それを実現せねばならない。そして、それはとても困難であり、戒厳令下では両立しないものもある。しかし、何かを待ったり、それを先送りにしたりする余裕は、私たちにはない」と発言した。

加えて同氏は、「そして、もう一つ脅威がある。その脅威はウクライナに典型的なものというわけでなく、戦時下におけるあらゆる社会にとって典型的なものである。なぜなら、あなたが、国際法や国際機関の決定など知ったことではない、と述べるような、まだ文明的に成熟しておらず、戦争遂行手段として戦争犯罪を実行し、町、教会、住宅をただただ破壊し、強姦し、切り裂き、殺害する野蛮人と対峙した時に、こちら側も鏡のように、同じように報復を初めてしまうという大きな危険があるからだ。そして、特に今、ロシアとの戦争に勝って、自らがロシアになってしまう、同じような野蛮人になってしまう権利は、私たちにはない。そのことを常に思い出し続けなければならないのだ」と指摘した。そして、同氏は、プーチン露大統領は2014年に、ウクライナが民主的変革の道を歩むことを止めるためにこの戦争を始めたのであり、ウクライナ人は彼のためになるような行動はしてはならないと強調した。

同氏は、「どんなに困難であろうとも、私たちは、民主的選択を得る自らの自由のために戦っていることを覚えておかねばならない。権利が意味を持つ社会を築く自由のためだ」と指摘した。