ウクライナ政府機関、西側諸国の制裁がまだ科されていないロシアの主要プロパガンダ要員を列挙

ウクライナの国家汚職防止庁(NAPC)は7日、複数の西側諸国により制裁がまだ科されていないロシアのプロパガンダ要員について報告した。

NAPCがテレグラム・チャンネルにて発表した

NAPCは、「長年、ロシア国民は、ウクライナ国民に対する蛮行、強姦、拷問、殺人へと仕向けられてきた。『子供がいる』と書かれた自動車に対して戦車で砲撃することに誰も疑問を持たないようにするためだ。それがロシアの英雄行為なのだ。ロシア兵の栄誉とは、手を縛られた一般のウクライナ人を背後から射殺することである。その行為に向けて、閉鎖された執務室の中にいる政権幹部だけでなく、プロパガンダ軍も仕事をしてきたのであり、プロパガンダ集団もまた、人道に対する罪で断罪されねばならない。しかし、彼らは複数の国の制裁対象にも入っていない」と指摘した。

NAPCが指摘するロシアの主要なプロパガンダ要員として、ロシア国営外国語放送テレビ局「RT」のマルガリータ・シモニャンが挙げられており、この人物がロシアがウクライナとの戦争に負ける場合の核戦争を繰り返し呼びかけてきたことを指摘した。シモニャンを制裁対象としてないのは、米国と日本だという。

続いて、NTV局のプロパガンダ番組の司会者であり、シモニャンの配偶者である、ティグラン・カサヤンが挙げられている。カサヤンは、「洗脳されたウクライナ人の脳みそを洗い直す」ことや、「ウクライナのナチたちに対する巨大裁判を行う」ことを提案したり、ロシアの戦争はウクライナだけでは終わらないと警告したりしていたことが喚起されている。カサヤンを制裁対象に加えていなのは、米国、カナダ、日本、ニュージーランド

また、国営ロシア1局の記者であり、ロシアで最も人気のある政治トークショー番組「60分」の司会者であるオリガ・スカベエヴァも挙げられている。スカべエヴァは、ロシアはウクライナ人を解放するためにウクライナ入りしたと発言したり、ウクライナのような国の占領は通常しばらく時間をかけるものだと述べたり、ロシアはウクライナとではなくNATOと戦っていると発言したりしたことが指摘されている。スカべエヴァは、米国、カナダ、日本、ニュージーランドの制裁に入っていないという。

なお、スカべエヴァの配偶者であるエヴゲーニー・ポポフは、ニュージーランド以外の国の制裁リストに加えられていると説明されている(編集注:日本含む)。他方で、ポポフは、番組「60分」の司会もしているが、制裁は国家院議員として対象とされているという。

NAPCはまた、国営テレビ局「ロシア1」と「ロシア24」の司会をするウラジーミル・ソロヴィヨフについても説明しており、ソロヴィヨフは、ロシアはウクライナの戦争だけでは止まらないとか、ウクライナは「移行段階に過ぎない」だとか発言していることが喚起されている。またソロヴィヨフは、米国や、ロシアと隣接する国々に対する脅迫的発言も頻繁に行なっているという。ソロヴィヨフに制裁を科していないのは、米国とニュージーランド

さらに、第1局のトークショー番組「時間が示す」の司会者である、アルチョム・シェイニンが紹介されている。シェイニンは、マリウポリの一部がロシア軍に制圧された時に、ウクライナの捕虜を使ったプロパガンダ映像を撮影しにマリウポリまで渡航していたという。シェイニンを制裁対象としていないのは、米国、オーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランドだと説明されている。

なお、日本政府は、3月8日の追加対露制裁発表時に、ロシアのプロパガンダ要員として知られる、ロシアの第1局及びロシア24局司会者のウラジーミル・ソロヴィヨフを資産凍結措置などの対象者に加えていた