プーチン露大統領、独仏首脳にウクライナ東部武装集団の国家承認の意向を通達

ロシア連邦のプーチン大統領は21日、マクロン仏大統領とショルツ独首相と電話会談の際に、ウクライナ東部ドンバス地方一部地域を支配する武装集団「ドネツィク人民共和国(DPR)」「ルハンシク人民共和国(LPR)」を国家として承認する大統領令に署名する意向を伝えた。

ロシア大統領府広報室が公表した

発表には、プーチン露大統領は独仏首脳に対して、ロシア拡大安全保障会議会合の結果を伝え、同会合にて「現在のドンバスを巡る情勢」や、露国家院による「DPR/LPR」国家承認呼びかけ決議の採択を説明したと書かれている。また、同日、「DPR/LPR」がウクライナからの攻撃を受けている(ママ)と主張した上で国家承認を呼びかけたことが説明されている。

その上で、「これら全てに鑑み、ロシア大統領は、近々関連大統領令に署名する意向であると伝えた」という。

発表には、独仏首脳は、そのような展開への失望を表明しつつ、やりとりを継続する準備があることが示されたと書かれている。

これに先立ち、ウクライナ東部にて「ドネツィク人民共和国(DPR)」「ルハンシク人民共和国(LPR)」を自称する武装集団の首長、プシーリン氏とパシチニク氏は21日、ロシアのプーチン大統領に対して、それぞれを国家承認するよう要請していた

なお、15日、ロシア国家院が「DPR/LPR」の国家承認をプーチン露大統領に呼びかける決議を採択していた。

これに対して、ウクライナのニコレンコ外務報道官は、「ウクライナの立場は、不変だ。ロシアによるいわゆる『LPR/DPR』の承認は、ミンスク諸合意の意図的離脱を意味する」と発言していた。

同氏はまた、そのような行動は政治・外交的情勢解決に深刻なダメージをもたらすものだと指摘した。同時に同氏は、いわゆる『LPR/DPR』の承認には法的効力が一切発生しないと指摘した。

また、在ウクライナ米大使館は、「今日の露国家院での『LPR/DPR』関連投票は、ウクライナの主権を侵害するさらなる不快な試みであり、その地の再統合を署名者に義務付けるミンスク諸合意の明らかな違反である。私たちは、ウクライナとともにある」とコメントした。

ドイツのショルツ首相は、「その決議が現実のものとなれば、(中略)それは(ミンスク)プロセスへの違反となり、その終わりを意味することになろう。それは政治的惨事となろう」と警告した。

ストルテンベルグNATO事務総長は、「いわゆる『LPR/DPR』の承認についてだが、もしそれが起きてしまったら、それはウクライナの領土一体性と主権のさらなる著しい侵害となる。間違いなく、ドネツィクとルハンシクはウクライナの一部であり、国際的に認められた国境内にある。そのため、その承認は、国際法の違反であり、ウクライナの領土一体性と主権の侵害となる。それはまた、ミンスク諸合意の違反となり、ミンスク諸合意にもとづいた政治的決定の模索をさらに複雑な課題とすることになる」と発言した。