ボレルEU特別代表、露国会による武装集団「国家承認」呼びかけを非難

15日にロシア国家院がウクライナ東部の自称「ルハンシク人民共和国(LPR)」「ドネツィク人民共和国(DPR)」を承認するようロシア大統領に要請する決議を採択したことにつき、同日、ボレル欧州連合(EU)上級代表は、EUは同呼びかけを非難すると発表した。

ボレルEU上級代表がツイッター・アカウントにコメントを書き込んだ

ボレル上級代表は、「EUは、ロシア国家院による、ウクライナ領ドネツィク・ルハンシク両州非政府管理地域を独立主体として承認するようプーチン大統領に対して要請する決定を強く非難する。その承認は、ミンスク諸合意への明白な違反となるだろう」と強調した。

またボレル氏は、EUはウクライナの国際的に認められた国境内での独立、主権、領土一体性への支持とコミットメントは揺らがないと指摘した。

ボレル氏はさらに、「私たちは、ロシアに対して、自らの義務を履行し、ノルマンディ・フォーマットと三者コンタクト・グループにて誠意をもって活動するよう要請する」と書き込んだ。

これに先立ち、15日、ロシア国家院が「DPR/LPR」の国家承認をプーチン露大統領に呼びかける決議を採択した。

これに対して、ウクライナのニコレンコ外務報道官は、「ウクライナの立場は、不変だ。ロシアによるいわゆる『LPR/DPR』の承認は、ミンスク諸合意の意図的離脱を意味する」と発言した。

同氏はまた、そのような行動は政治・外交的情勢解決に深刻なダメージをもたらすものだと指摘した。同時に同氏は、いわゆる『LPR/DPR』の承認には法的効力が一切発生しないと指摘した。

また、在ウクライナ米大使館は、「今日の露国家院での『LPR/DPR』関連投票は、ウクライナの主権を侵害するさらなる不快な試みであり、その地の再統合を署名者に義務付けるミンスク諸合意の明らかな違反である。私たちは、ウクライナとともにある」とコメントした。

ドイツのショルツ首相は、「その決議が現実のものとなれば、(中略)それは(ミンスク)プロセスへの違反となり、その終わりを意味することになろう。それは政治的惨事となろう」と警告した。

ストルテンベルグNATO事務総長は、「いわゆる『LPR/DPR』の承認についてだが、もしそれが起きてしまったら、それはウクライナの領土一体性と主権のさらなる著しい侵害となる。間違いなく、ドネツィクとルハンシクはウクライナの一部であり、国際的に認められた国境内にある。そのため、その承認は、国際法の違反であり、ウクライナの領土一体性と主権の侵害となる。それはまた、ミンスク諸合意の違反となり、ミンスク諸合意にもとづいた政治的決定の模索をさらに複雑な課題とすることになる」と発言した。