ウクライナ裁判官評議会、倫理評議会メンバー候補を選出 EU大使が歓迎

マーシカス駐ウクライナ欧州連合(EU)大使は、ウクライナ裁判官評議会が高等司法評議会傘下の倫理評議会のメンバー候補4名を選出したことを歓迎するメッセージを発出した。

23日、マーシカスEU大使がツイッター・アカウントに書き込んだ

大使は、「裁判官評議会が高等司法評議会傘下倫理評議会のメンバー候補を選出した。それは、裁判改革履行へ向けた一歩前進である。次は、高等司法評議会が倫理評議会を形成しなければならない。それは、1週間でできることだ。そうして、ついに(編集注:倫理評議会の)活動が始められるのだ!」と書き込んだ。

これに先立ち、8月3日、ゼレンシキー大統領は、裁判改革を実現するための重要法とされる、高等裁判官選考委員会再編法(第3711ーd)と、高等司法評議会再編法(第5068)に署名し、発効させていた。両法は、国際専門家を参加させた上でのウクライナ司法政権の人員刷新を定めている。

とりわけ、高等司法評議会再編法は、高等司法評議会のメンバーの公正性の調査手続きを定め、また裁判官に対する懲罰手続きも変更するもの。「高等司法評議会」とは、裁判官の任命や、裁判官への懲罰、解任を最終的に決定する、司法システム上の重要機関である。同法は、「倫理評議会」の設置を定めている。同評議会は、ウクライナ裁判官評議会が定める裁判官あるいは退官裁判官から計3名と、国際機関が定める3名(国際専門家)の計6名で構成される。この際、倫理評議会では、「公正選考委員会」同様、国際専門家が決定的投票権を得る。

この倫理評議会は、高等司法評議会のメンバー候補の専門倫理と公正さの基準を調査、及び評議会設立後3か月以内に高等司法評議会現職メンバーの専門倫理と公正さの基準を調査する。倫理評議会は、評価に応じて現職メンバーの解任勧告を行うことができる。

EU、欧米諸国などの国際パートナーは同法に従い、「国際専門家」3名を速やかにウクライナ側に提案していたが、他方で、ウクライナ裁判官評議会側が、倫理評議会への自らの代表者を送ることを拒否し、1か月間の候補者選考期間を設けることで、倫理評議会の形成を遅らせていた。

20日、ウクライナに駐在する米英と欧州連合(EU)の大使3人が、ウクライナは法の支配を無効化し、欧州大西洋統合の障害となっている司法界の汚職の影響力を克服すべきだと呼びかけ、とりわけ、ウクライナ裁判官評議会が高等司法評議会傘下の倫理評議会への候補者を提示していないことを問題提起していた