【ケルチ海峡沖艦船拿捕事件】ウクライナ側が軍艦の主権免除侵害を説明

国際海洋法条約(UNCLOS)に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所にて12日、2018年11月のケルチ海峡沖におけるロシア連邦によるウクライナ海軍艦船拿捕事件に関するウクライナ対ロシアの国際裁判の2日目の公聴会が行われ、ウクライナ側が口頭弁論を行った。

ウクルインフォルムのハーグ特派員が伝えた。

ウクライナ代表団にて団長を務めるオクサーナ・ゾロタリョヴァ氏は、ロシアがUNCLOSの基本原則である軍艦の有する主権免除(immunity)を侵害したことを説明した。

ゾロタリョヴァ氏は、「すなわち、ウクライナ海軍艦船『ベルジャンシク』『ニコポリ』『ヤニ・カプ』は私たちの主権を体現したものであり、敬意対象となるものである。しかしながら、ロシアは、ウクライナの主権を尊重していないのと同様に、国際法を尊重していない。今回、同国はウクライナ軍艦の主権免除を尊重していないわけだが、主権免除は国際法にて幅広く認められる原則なのだ。今日、ここで、私たちは、ウクライナのみならず、海洋の国際的法秩序全体を防衛していることになる」と発言した。

同氏は、ウクライナは国際法を信じていると強調し、「国際法規範が侵害される場合、正義と責任を模索する上で、私たちは、係争解決には平和的手段を求めることにしている。そのため、ウクライナはこの仲裁裁判に呼びかけたのである」と説明した。

さらに同氏は、本件は、ロシアによる国際法軽視の結果として被害を受けた24名のウクライナの海軍軍人のために行われるものだと指摘し、「ロシアは、彼らの自由を9か月半にわたって奪い、親族から離れたところに拘束した。ロシアは、彼らを犯罪者として扱い、悪名高いレフォルトヴォという牢屋の最悪な環境に置き、彼らをロシア裁判所のカゴの中に押し込めた。私の国全体と世界中がその悪夢を見ていた。本件は、その勇敢なウクライナの海軍軍人の事件なのだ。私は、あなた方に仲裁者として、今週、双方の法的根拠を聞く際、その人々の名前も覚えていて欲しい。彼らは正義を受けるに値する者たちだ」と指摘し、当時ロシアに拘束された24名のウクライナ海軍軍人の名前を読み上げた。

なお、公聴会は16日まで行われる。11日は、ロシア連邦による第1回口頭弁論が行われていた。14、15日には、両国が第2回目の弁論を行う。16日には、何らかの必要が生じた場合の予備日となる。

本件は、2018年11月25日、被占領下ウクライナ領クリミア近くのケルチ海峡沖にて、ロシア治安機関がウクライナ海軍艦船3隻を攻撃、24名の軍人とともにだ捕した事件の裁判。これら3隻の艦船は、オデーサ港からアゾフ海のマリウポリ港へ向かうところだった。

2019年5月25日、国際海洋法裁判所(ITLOS)は、ウクライナ対ロシアの案件における暫定方策として、ロシアに対して、同国がケルチ海峡沖で拘束・だ捕した24名の海軍軍人と艦船を速やかに解放し、ウクライナへ戻すことを命令。これに対して、ロシアは、同判決の効力を認めないとし、ロシアのウクライナ海軍軍人に関する立場は変わらないと発表したが、その後、2019年9月7日、ウクライナとロシアの間で、被拘束者交換が行われ、ウクライナにロシアにて違法に断罪されていた政治囚11名とともに、24名の海軍軍人が帰還している。