ゼレンシキー大統領、イスタンブルでエルドアン・トルコ大統領と会談 情勢や自由貿易協定案など協議

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ヴォロディーミル・ゼレンシキー大統領は10日、トルコのイスタンブルを実務訪問し、同国のレジェップ・タイップ・エルドアン大統領と第9回ハイレベル戦略評議会会合を開き、クリミア・東部情勢、貿易などにつき協議を行なった。

会談後、両大統領が共同記者会見を行なった。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

ゼレンシキー大統領は、「いつも通り、私たちは、貿易・経済関係に大きな注意を向けた。私たちにとって重要な意味を持っているのは、今後の二国間貿易の自由化だ。自由貿易協定への署名が貿易量を著しく伸ばす可能性を持っている。そのため、私たちは、その重要な文書への署名の道を開くべく、両国の関連機関が全ての対立点の監査を行い、相互の妥協を見つけることで、(エルドアン)大統領と合意した」と発言した。

ゼレンシキー大統領はまた、トルコのウクライナへの投資、エネルギー分野協力についても協議を行なったと伝えた他、「協力の著しい展望があるのは、防衛産業分野である。私たちは、航空機建造分野の協力も協議した。私たちの目的は、具体的なプロジェクト、共同企業設立、経験と技術の交換である」と強調した。

大統領はまた、同日両国政府間で住宅建設分野の合意に署名が行われたことを報告し、「私は、住宅建設分野協力の政府間合意署名を歓迎する。これは、クリミア・タタール人やその他の国内避難民のために500の住居を建設することを可能とするものである」と述べ、この合意は、両国民をさらに近づける極めて重要な人道プロジェクトであると指摘した(編集注:昨年2月、ゼレンシキー大統領は、ウクライナはトルコとの間でクリミアに隣接する南部ヘルソン州に、被占領地から避難するクリミア・タタール系家族の500以上の世帯向けの住居を建設することで同意していた)。

また、ゼレンシキー大統領は、エルドアン大統領が「クリミア・プラットフォーム」への参加準備があり、今年8月23日にキーウ(キエフ)にて開催される同プラットフォームへも出席する準備があることにつき謝意を述べた。

ゼレンシキー大統領はまた、エルドアン大統領に、クリミアでの人権侵害をはじめ、一時的被占領下ウクライナ領の状況につき報告したと伝えた。

大統領はその他、「今年、私たちは、両国間戦略的パートナーシップの10周年を迎えている。様々な議題や私たちの二国間対話の集中性、そのパートナーシップが単なる言葉の上にあるのではなく、確かに現実的行動、真の勝利によって固められていることを証明している。私は、今日達成された全ての合意が成果を出すと確信している。何よりまず、私たちは、安全保障と黒海地域の挑戦への共同の対抗について詳細に協議を行なった。脅威そのものと、その脅威へのしかるべき対応手段へのキーウとアンカラの見方が一致していることは指摘しておくべきであろう」と発言した。

その上で大統領は、トルコがウクライナの主権・領土一体性を支持していることの重要性を指摘し、「私は、(エルドアン)大統領からその重要な支持、トルコの立場が今後も不変であるとの言葉を聞けて、幸せであった」と発言した。

エルドアン大統領は、ウクライナ東部情勢につき、「私たちは、ウクライナ東部情勢に関して意見を交換した。私たちは、国際法の枠組みで、ウクライナ領土一体性を維持することを基本としつつ、平和的手段で情勢を解決すべきだと確信している。私たちは、観察される情勢激化の低下、緊張の低減、ミンスク書合意の条項履行を支持している。私たちは、この問題につきあらゆるサポートを提供する準備がある」と発言した。

エルドアン大統領はまた、欧州安全保障協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団(SMM)が活動を継続し、不断かつ障害を受けずに活動しなければならないと発言した。

加えて同大統領は、ウクライナとトルコが閣僚級で2+2フォーマットの会談を開始したことの重要性を指摘し、両国の協力を強化するものだと指摘した。

写真:大統領府