ポーランド国家記憶院、テルノーピリ・スタジアム改名に公式抗議
ポーランド国家記憶院は、ウクライナ西部テルノーピリ市の市営スタジアムにウクライナ蜂起軍最高司令官のロマン・シュヘーヴィチの名を関する同市市議会の決定につき、公式に抗議の意を表明した。
ポーランド国家記憶院がフェイスブック・アカウントにて声明を掲載した。
声明には、「国家記憶院は、テルノーピリ市スタジアムにロマン・シュヘーヴィチの名を冠すことにつき抗議する。同人物は、第二次世界大戦時、ドイツ警察大隊ナフティガルの将校であったし、その後ウクライナ蜂起軍の司令官となっている。彼は、ヴォリーニと東マウォ・ポルスカでのポーランド民間人ジェノサイドに責任を負う人物である。ウクライナ民族主義団体のリーダーであったロマン・シュヘーヴィチは、ポーランド住民の残虐な浄化と物理的粛清の特に熱狂な支持者の一人であった」と書かれている。
さらにポーランド国家記憶院は、「ロマン・シュヘーヴィチの称賛は、ウクライナの民族主義者の犠牲となったポーランド人、ユダヤ人、ウクライナ人の記憶を害するものである。(中略)ウクライナ民族主義者が行なったその反ポーランド民族浄化は、ジェノサイドであった」と強調した。
これに先立ち、3月5日、テルノーピリ市議会は、同市市営スタジアムを「ロマン・シュヘーヴィチ記念テルノーピリ市営スタジアム」と改名する決定を採択。9日、在ウクライナ・イスラエル大使館が同決定を採択したことを非難するコメントを発表すると、これに対し、10日、ニコレンコ・ウクライナ外務報道官が「国民の記憶の維持は国政の優先課題の一つ」だと返答していた。
ロマン・シュヘーヴィチ(1907〜1950)は、ウクライナの政治活動家・蜂起軍指導者。ウクライナ蜂起軍(UPA)の最高司令官、ウクライナ主要解放評議会事務局長(1942〜1950)を務めており、ウクライナでは、20世紀のウクライナ独立の戦士として知られている。1941年から1942年にわたり、シュヘーヴィチ氏は、ナチスドイツ占領下ウクライナにて、親衛隊補助警察(Schutzmannschaft)第201大隊中尉を務めていた。