米国、新ガスパイプライン関連で対ロシア制裁発動 ウクライナは歓迎

米財務省は19日、ロシアとドイツの間新天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の建造に関わるロシアの船舶3隻と2企業に対して制裁を発動した。

また、ベネズエラのマドゥロ非合法政権支持者に対する制裁も発動している。米財務省が公表した。

制裁対象となったのは、海底にパイプを敷設する船「フォルトゥナ」と同船を運用するKVT-RUS社で、ノルド・ストリーム2プロジェクト参加が根拠となっている。また、タンカー「マクシム・ゴーリキー」「シエラ」、ルスタンカーLLC社は、ベネズエラの非合法政権のビジネスを支持したことが根拠とされている。

また、ウクライナ外務省は、ツイッター・アカウントにて、同制裁発動を関するメッセージを発表した

外務省は、「ウクライナは、ノルド・ストリーム2に対する米国の新しい動きを歓迎している。モスクワを拠点とするKVT-RUS社とフォルトゥナへの制裁は、建造をさらに複雑とする。私たちは、戦略的パートナーである米国と、ウクライナおよび欧州全体のエネルギー面の独立を保護するために今後も一緒に密接に作業を続けていく」と発表した。

なお、ロシアとドイツを結ぶことを予定しているノルド・ストリーム2は、全長1200メートルで、すでに94%が建設されている。完成すると年間550億立方メートルのガスを送ることが可能となると説明されている。ウクライナを迂回すること、欧州の対露エネルギー依存を高めることから、ウクライナ、米国、ポーランド、バルト諸国が同パイプラインの建設に反対を表明している。

米国が2019年12月に発効した対ノルド・ストリーム2制裁により、現在同パイプラインの建設作業は停止している。さらに、米国の2021年会計年度の国防予算を定める国防権限法(採択済み)にも、同パイプラインへの追加制裁が含まれている。