ゼレンシキー氏、プーチン露大統領の国籍付与簡略化発言に対して声明発表
ウクライナ大統領選挙に勝利したヴォロディーミル・ゼレンシキー氏は、ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナ国民の希望者全員にロシア国籍を付与する考えを示したことに対して、声明を発出した。
27日、ゼレンシキー氏が個人のフェイスブック・アカウントに声明を掲載した。
ゼレンシキー氏は、「もしかしたら、誰かまだプロパガンダの影響下にある者が見つかるかもしれない。もしかしたら、誰かが、金稼ぎや、刑事捜査から隠れるために、ロシア国籍を取得するかもしれない。私たちは、ウラジーミル・プーチン氏に対して、近い将来ロシアにとって非常に不都合となる、高官ポストを悪用し、シニカルに国を食い物にするようなウクライナ国民のリストを渡してあげても良い。その後、ロシアが、このような『(汚職の)専門家』が最も必要な場所を決めれば良いのだ。ロストフか、マガダンか」と述べた。
加えてゼレンシキー氏は、ウクライナとロシアの違いとして、ウクライナ人は表現の自由、自由なマスメディアとインターネットを有していることだと指摘しつつ、「そのため私たちは、ロシア国籍により実際には何を得られるのかを非常によくわかっている。それは、平和的抗議により逮捕される権利であり、自由で競争ある選挙を行えない権利であり、人権や自由の存在について全く忘れてしまう権利である」と強調した。また、「ロシア政権は自国民を『新しい石油』に変えようとしているが、多くのウクライナ人も同様のことを欲すなどとは期待しない方が良い」と発言した。
ゼレンシキー氏は、ウクライナ人とは自由な国に住む自由な人々のことであり、ウクライナ国籍は、自由と尊厳と正義の象徴であり、それを今後も保護していくと述べた。そして、同氏は、ウクライナは旧ソ連諸国にとっての民主主義の鑑であることをやめないと強調し、権威主義、汚職体制から苦しみ、自由のために闘う準備のある全ての人々、何よりまず、最も苦しんでいるロシア人に対して、庇護とシェルターとウクライナ国籍を与えることが、ウクライナの使命の一部となる、と指摘した。
その上で、ゼレンシキー氏は、「ウクライナやウクライナ人に対して、脅迫的言語や、軍事的・経済的圧力でもって話そうとすべきでない。それは戦争を止め、ミンスク・プロセスを前に進める上での最善の道ではない」と強調した。
同時に、ゼレンシキー氏は、協議を行う準備があると改めて発言した。同氏は、「私は、ノルマンディ・フォーマット(編集注:独仏宇露4国の参加するウクライナ情勢協議フォーマット)の次回会合にて、ロシアが情勢沈静化の準備を示すことを期待している。この準備を具体的に示すのは、例外のない『全員対全員』のフォーマットによる(拘束される)両国国民の相互交換でなければならない」と強調した。
またゼレンシキー氏は、「ウクライナとロシアの新たな共存条件につき協議する準備がある」と述べつつ、「それは真の(関係)正常化は完全な脱占領下が行われてはじめて可能となるという理解に基づいている。ドンバスもクリミアもである。ウクライナは屈しない!それは、あらゆる意味においてである」と強調した。
これまでの報道にあるように、4月24日、ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツィク・ルハンシク両州被占領地域在住の住民を対象に、ロシア国籍を簡略手続きで取得することを可能とする大統領令に署名した。