ドニプロペトロウシク州からドニプロ州へ。大統領、憲法改正案を国会に提出

ポロシェンコ大統領は、憲法改正法案「ウクライナ憲法第133条改正(ドニプロペトロウシク州改名)」を最高会議(国会)に提出した。同改正案は、ドニプロペトロウシク州をドニプロ州に改名することを想定している。

21日、大統領府広報室が発表した。

発表によると、ポロシェンコ大統領は、「脱共産主義は、終わらせなければならない。ウクライナの地図に、ペトロウシキーのための場所などあってはならない。この人物は、共産体制の指導者の一人であり、ホロドモール(編集注:1932~33年のソ連体制によるウクライナにおける人工的大規模飢餓)の共同計画者、実行者であった。州名の変更には、憲法改正が必要である。分析によれば、『ドニプロ州』だと、300名以上の最高会議議員が賛成するとのこと(編集注:憲法改正には、議会の3分の2となる300名の賛成が必要)。ドニプロペトロウシク州は、ドニプロ州になる。ペトロウシキーの居場所は、歴史のゴミ箱となる。この論理でもって、最高会議にドニプロペトロウシク州をドニプロ州に改名する憲法改正法案を提出した」と発言したことが記されている。

憲法改正案とともに提出された法案説明文には、ドニプロペトロウシク州は、ソ連、ボリシェヴィキ、共産党の政治家であり、ウクライナ・ソヴィエト社会主義共和国中央選挙管理委員会委員長のフリホーリー・ペトロウシキー(1878~1958)の名前からつけられていることが指摘されている。同人物は、1932~33年のホロドモールを計画した人物の一人であり、ウクライナの共産主義・全体主義体制の政治家であり、脱共産主義法の対象となるとのこと。説明には、「ドニプロペトロウシク州の改名の目的は、今後、共産・全体主義体制の象徴が州名に用いられることを不可能とすることである」と書かれている。

これに先立ち、11月20日、最高会議では、ドニプロペトロウシク州をシチェスラウ州に改名する憲法改正法案を憲法委員会に送付する投票を議題に乗せる投票が行われ、否決されていた。シチェスラウとは、ウクライナ・コサックの歴史において、コサック達の軍営地であった「シーチ」を称える名前であった。同日、キロヴォフラード州をクロピウニツィキー州へと改名する憲法改正案を憲法裁判所へ送付する投票は、可決されていた。

なお、都市名は、憲法改正を必要としないため、2016年5月時点ですでにドニプロペトロウシク市はドニプロ市へ改名されている。