EU、ロシアにザポリッジャ原発周辺での戦闘行為の即時停止を要求

欧州連合(EU)は、ウクライナ南部でロシアが占拠を続けるザポリッジャ原子力発電所の機能維持に不可欠な電力供給を緊急に復旧させるため、ロシアに対し、原発周辺での戦闘行為を即時停止するよう呼びかけた。

9月30日、EU対外行動庁のヒッパー報道官が声明を発出した

報道官は、先週、ザポリッジャ原発が再び最後の外部電源を喪失したことを喚起し、ロシアによるウクライナへの全面侵攻開始以来、これは10度目の事態だと伝えた。同氏はそして、今回の事態はこれまでで最も長く、そして戦闘行為が送電線の修理と再接続を妨げ続けている点を考慮すると、最も深刻な停電だと指摘した。

同氏はその上で、「私たちはロシアに対し、電力供給の緊急な復旧を確保するため、原子力発電所周辺での全ての軍事作戦を直ちに停止するよう要請する」と述べた。

その際同氏は、同原発では停止中の6基の原子炉の冷却やその他の重要な核安全機能に必要な電力供給は、現在、非常用のディーゼル発電機にのみ依存していると喚起し、長期にわたる電力喪失は安全システムを危機にさらすおそれがあると強調した。

そして同氏は、「EUは、核安全を確保するための7つの不可欠な柱に従い、送電線の修理を促進するためのIAEA(国際原子力機関)の努力を完全に支持する」と強調した。

さらに同氏は、「ロシアは、全ての部隊、軍事用品、その他の無許可の要員をザポリッジャ原発とウクライナ全土から直ちに、無条件に、完全に撤退させねばならない。ザポリッジャ原発を権限のある合法的なウクライナ当局の完全な管理下に戻すことが、世界的な影響を伴う原子力事故のリスクを最小限に抑えるための唯一の長期的な解決策だ」と訴えた。

なお、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンシキー大統領は同日、ザポリッジャ原発が電力供給から切り離されたことで危機的な状況にあると述べていた。同原発はディーゼル発電機によって電力を供給されているが、入手可能な情報によると、そのうちの1基が故障したという。

ロシアに占領されたザポリッジャ原発は、ウクライナのエネルギーシステムとの接続がない状態が7日間続いており、核および放射線安全上のリスクをもたらしている。

9月23日、同原発の最後の外部送電線が遮断。予備送電線は5月にすでに占領国ロシアによって切断されており、それ以来、ロシアはウクライナの電力公社(ウクルエネルホ)の修理チームに対し、復旧のための安全の保証を提供していない。