ウクライナへの安全の保証提供問題でロシアに発言権はない=カラスEU外務・安全保障政策担当上級代表
欧州連合(EU)のカラス外務・安全保障政策担当上級代表は、ウクライナへの安全の保証の提供に関する決定採択にロシアは発言権はないとの見方を示した。
カラス氏がエストニアの公共放送ERRとのインタビュー時に発言した。
記者から、ロシアが、ウクライナへの「安全の保証」の一環でウクライナに欧州諸国の軍が展開されることに同意しないと述べていることについてのコメントを求められると、カラス氏は、「それは彼らが受け入れるようなことではない」と指摘した。
その際同氏は、「ウクライナへの欧州の安全の保証をロシアと話し合うべきだという立場を聞く時、そうすることで私たちはロシアに今以上の影響力を与えることになる。それは全くもって彼らが発言するようなことではないのだが、改めて、それは、彼らが平和の達成という目標について、全くもって真剣ではないことを示している」と発言した。
またカラス氏は、欧州と米国は、ゼレンシキー宇大統領とロシアのプーチン氏を同じテーブルに着かせようと努力しているとしつつ、同時に、プーチン氏を信用することはできないとも指摘した。
カラス氏はその際、「ご存じの通り、プーチン氏はゲームをしており、実際には彼は信用してはならない。今非常に明確に見て取れるのは、ロシアが実際にはテーブルに着くことや、どのような実質的な議論を行うことも望んでいないということだ」と発言した。
またロシアのラヴロフ外相による、ウクライナの「合法的な代表者」の参加を得てのみ、和平合意は署名されるという最近の発言について、カラス氏は、「それもまたあらゆる種類の条件が絶え間なく持ち出される、好例だ」と指摘した。
そして同氏は、「それに対しては、プーチン氏もまた選挙を経ていないと述べることができる。少なくともロシアでは過去25年間真の適切な選挙は行われてこなかった。彼もまた、合法的なリーダーではなく、彼がロシアを代表して和平条約に除名するのも正しくないだろう」との見方を示した。
そして同氏は、EUは米国と共に、戦争終結のためにロシアに圧力をかけるための手段を持っていると述べた。同氏は、「そのために制裁があるのだ。もし私たちが、制裁が回避されないように、本当に大きな勢力である米国と欧州が共に制裁を発動すれば、ロシアを彼ら自身が平和を望む点まで追い詰めることが可能となるのだ。現時点では、彼らはその点に達していない」と指摘した。
ロシア政権が繰り返す戦争のいわゆる「根本原因」に関するナラティブにコメントする形で、カラス氏は、国際法上、国家が武力を行使できる条件は2つあると述べた。同氏は、「1つは、自衛である。もう1つは、国連安全保障理事会の決定がある場合だ。他国を攻撃するための『根本原因』など存在しないし、もしそのようなものがあるかのように譲歩し始めれば、世界中の国境が事実上開放されることになってしまう。それは私たちが望む世界ではない。それらは決して賛同してはならないロシアのナラティブである」と強調した。
その他同氏は、欧州は引き続き団結し続けなければならず、実際に「私たちは団結してきた」と述べた。
そして同氏は、「実際、欧州の首脳たちがワシントンでゼレンシキー大統領と一緒にいたというのは非常に良い例でもあった。私たちがワシントンで見た光景は、ゼレンシキー大統領が単独でそこにいた光景とは大きく異なっていた。現在私たちが行っている議論は安全の保証に関わることであり、もし実際に和平条約が結ばれたら、その時はロシアがさらに進まず、一時停止の後に再び攻撃を始めないことをどのように確保するかということである。私たちはまだ、大西洋間のパートナーたちをその点で説得しなければならない」と発言した。
同氏はその上で、「ロシアはこれまでいかなる条約も約束も遵守してこなかったし、その理由から、私たちは、彼らがこの戦争を遂行するための手段を持たないように、あらゆることを行わねばならない」と訴えた。