ドイツ与党議員、独議会が長射程ミサイル「タウルス」供与を支持しなかった理由を説明

ドイツ議会にて最大与党の社会民主党に所属するミヒャエル・ロス議員は、ドイツ政界では多くの人がウクライナへの長射程巡航ミサイル「タウルス」供与の案を支持しているとし、保守系野党が常に供与を要求しているし、与党内にも同案の支持者は多いと発言した。

ロス議員(外務委員長)がウクルインフォルムへのインタビュー時に発言した(リンク先はウクライナ語)。

他方で最近の独議会で、野党CDU/CSUが本件に関して提案を出して投票にかけられた時には、同会派しか投票しなかった。ロス議員は、与党3党が同投票時に賛成しなかった理由として、「与党内で対立のある問題に関して、野党が提出する提案に投票することは受け入れられない。誰かにはそれが気に入らないかもしれない。しかし、私たちがそのように行動しなければ、ドイツの政府の活動能力は大きな脅威に陥ってしまうだろう」と指摘した。

その際同氏は、自身は「タウルス供与を完全に支持している」と明言した。

また同氏は、ウクライナが自衛戦とロシアに奪われている領土解放のために必要としている物は全て供与されねばならないと発言した。

同時に同氏は、タウルス供与案を支持する者の非常に多くが、残念なことに、ウクライナ軍がタウルスを受け取ったらすぐに「問題はなくなり、私たちはロシアをようやく止められるようになる」と考えていると指摘した。

その上で同氏は、ウクライナには、弾薬、壊された兵器の部品、防空システム、戦車などはるかに多くの物が供与されるべきだと主張し、「つまり、それ(勝利)はタウルスという武器システム1つで実現することはできないのだ」と発言した。

なお、ウクライナは、ドイツに対して昨年春から長射程ミサイル「タウルス」の供与を要請している。ドイツの与野党には同ミサイルのウクライナへの供与を支持する議員が少なくないが、ドイツ政府は本件について現在まで供与を決定していない。