EUは脅威評価の際にロシアの振る舞いを考えるべき=独国防相

欧州連合(EU)は、自国安全保障のコンセプトを作成する際に、現在のロシアによるウクライナなど隣国や欧州そのものへ脅威を共通で評価すべきである。

14日、ドイツ連邦のアンネグレート・クランプ=カレンバウアー国防相が欧州議会外務委員会と安全保障・国防小委員会の共同公聴会の際に発言した。ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

クランプ=カレンバウアー国防相は、「私たちは、ロシアにどのように接すべきかという問題を研究していく。それは、同国が、欧州にとって新たな脅威となっている核能力を含む、増強する軍事的潜在力の観点からのみではない。私たちは、リビアやシリアだけでなはなく、現在も戦闘行為が継続し、第二次世界大戦後初めて欧州にて武力の行使により国境変更が行われたウクライナ情勢におけるロシアの振る舞いも見なければならない。ロシアは、自らの利益を定め、実行し、隣国へと圧力をかけている。それは明白な事実だ。その脅威が今後も拡大するのかどうか。それが私たちの行うべき議論の対象であるべきだ」と発言した。

欧州議員の質問に答える形で、クランプ=カレンバウアー国防相は、ウクライナ情勢の解決においてノルマンディ協議に代わり得る案は多くないと指摘した。

国防相は、「ウクライナ東部情勢解決は重要なプロセスであり、長期化し、私たちが予見していたよりもはるかに困難となっている。しかし、ノルマンディ・フォーマットがこの危機の解決を促すべくもたされたものであることは、私は言わねばならない。私たちが、単に肩をすくめて、国際法が違反された、と言うだけにしたくないのであれば、私たちが、それが欧州で起きているということを考慮するのであれば、私は本件で現在私たちが行なっている政策には多くの代替案はないと思っている」と発言した。

加えて、同大臣は、現存する脅威の共通の評価がいわゆる「戦略的コンパス(Strategic Compass)」と呼ばれる、欧州安全保障戦略の作成に向けた最初の一歩となると述べた。大臣は、同戦略はEUが2022年までに完成しなければならないものだと喚起した。

大臣は、「ロシアをどう受け止めるか、という一つの問題のみ見れば、EU内に、ロシアの役割の評価や、ロシアからの脅威は不可欠か否か、という点につき、非常に様々なアプローチがあることは、全くもって明白である。それが、戦略的コンパスを発展させる上で最初の重要な一歩となるべき、共同分析の基本となるべきものだ。戦略的コンパスにて、現在ある個々のアプローチが合意された戦略に統合されるべきである。私たちは、共通の行動に向けて準備するために、そのような戦略的手段が必要なのだ」と発言した。

大臣はまた、EUにとっての脅威の評価が、ドイツがEU議長国を務める2020年中に終わらせられることへの期待を表明した。また、その評価には、欧州統合情報センターや、EU各加盟国の情報機関が参加すると伝えた。

大臣は、「分析の際、核の脅威や通常の脅威といった伝統的脅威の他、これらハイブリッド脅威についても、私たちは初めて作業する。COVID-19の際に、私たちは、様々なハッカー攻撃、偽情報拡散、その他の問題を見てきた。正にそのために、私たちには(立場の)一致が不可欠なのだ。過去数か月、私は、北欧の国々やバルトの国々と集中的に連絡を取ってきたし、水曜日から土曜日にかけて、V4(編集注:ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア)の国々を訪問する。私たちは、言うまでもなく、どのようにロシアと接すべきか、という問題を分析していく」と発言した。

写真:dpa