【MH17機撃墜裁判】被告弁護士、ウクライナ軍が撃墜した可能性があると発言

23日、オランダにて再開された2014年7月にウクライナ東部におけるマレーシア航空機MH17撃墜事件の裁判にて、オレグ・プラートフ被告(ロシア連邦軍参謀本部情報総局特殊任務部隊所属中将)の弁護士は、同機を撃墜した地対空ミサイル「ブーク」はウクライナ軍人が発射した可能性があると発言した。

ウクルインフォルムの特派員が伝えた。

プラートフ被告の弁護士サビナ・テン・ドゥスハテ氏は、「ウクライナは大量のミサイルとブーク・システムを所有している。ウクライナのMH17撃墜の地域には、(当時)96個の同型ミサイルがあった」と発言した。

同弁護士は、MH17機が「ウクライナ軍人により撃墜された可能性」を排除すべきでないと主張した。

また、同氏は、国際共同捜査チームはロシアの「アルマズ・アンテイ」社代表者をはじめとするロシアの専門家の考えを無視していると主張した。また、約100名の証人、専門家への事情聴取を要求するとともに、追加捜査が必要だと主張した。

なお、今回の被告側主張に対する裁判所側の判断は、6月26日に発表される。

今回の公判は、6月8日から7月3日まで開催されている。

MH17の公判は、本年3月に始まっている。

マレーシア航空機撃墜事件とは、2014年7月17日、アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空機MH17がウクライナ東部ドンバス地方上空で武装集団により撃墜され、乗客・乗員合計298名全員が死亡した事件をいう。

2016年9月、国際共同捜査チーム(JIT)は、同事件の技術捜査の結果として、同航空機が、親露武装集団支配地域から地対空ミサイルシステム「ブーク」により発射された弾頭「9M38」により撃墜されたことを判明させていた。

同時に、民間調査グループ「ベリングキャット」は、MH17を撃墜した「ブーク」がロシア軍第53対空旅団発のものであることを判明させていた。ベリングキャットは、ソーシャル・メディアとオープンソース情報の独自の分析を通じて、MH17撃墜に関与した20名のロシア軍人を特定させた報告書を発表した。これら軍人の名前が写真付きで示されているこの報告書は、オランダの検察に渡されている。

2018年5月24日には、JITは、MH17を撃墜したロシアのミサイルの破片を公開しつつ、ミサイルがロシアのクルスクを拠点とするロシア軍第53対空ミサイル旅団に属するものであることが判明したと発表した。

なお、2019年6月、マレーシア航空機MH17撃墜事件の捜査を行う国際共同捜査チーム(JIT)は、同撃墜に関与した容疑者4名を公表しており、オレグ・プラートフ氏(露国籍)はその内の1人。JITは、プラートフ氏につき、地対空ミサイル・システム「ブーク」の移送に関与し、航空機の撃墜した地域の警備を担当した容疑を発表していた。

スキポール裁判コンプレクスは、ハーグから約50キロ離れた場所に位置する。