中央銀行12億横領事件:反汚職裁判所、理事会メンバーへの自宅拘禁の判決

13日、高等反汚職裁判所は、2014年にウクライナ中央銀行がVAB銀行に供与した12億フリヴニャ規模の安定借款を横領した容疑で拘束された人物の一人である、中央銀行理事会メンバーのミコラ・カレンシキー氏に対して、未決囚予防措置として自宅拘禁を言い渡した。

ウクルインフォルムの記者が伝えた。

裁判官は、「裁判所は、ミコラ・カレンシキー氏への予防措置として、24時間の自宅拘禁を採択した」と発表した。

加えて、裁判所は、カレンシキー氏に対して国外渡航用旅券の提出、位置情報を把握するための電子ブレスレットの装着、捜査官の初回要請での出頭、キーウ州外への渡航禁止を義務付けた。

また、同判決は、5日間以内に、反汚職裁判所控訴院への控訴が可能だと伝えられた。

これに先立ち、11月11、12日、国家汚職対策局(NABU)は、中央銀行の当時と現在の職員合計8名に対して、ウクライナ中央銀行がVAB銀行に供与した12億フリヴニャ規模の安定借款を横領した容疑を伝達していた。

特別汚職対策検察(SAP)は、反汚職裁判所に対して、本件を起訴し、最終判決が出るまでの容疑者に対する未決囚予防措置として、250万フリヴニャから3000万フリヴニャの保釈金を設定した上での逮捕を要請していた。

また、今回の捜査には、ライフアイゼン銀行のオレクサンドル・ピサルーク氏も容疑者に加わっているという。同氏は、2015年まで中央銀行の副総裁職を務めていた。

NABUは、今回の容疑を次のように説明している。2014年10月、「問題のある銀行」カテゴリーに加えられていたVAB銀行は、中央銀行に対して、不動産を担保とした安定借款供与を要請。この際、VAB銀行が同要請に必要な書類を全て提出しなかったにもかかわらず、中央銀行幹部は、法に反する形で同銀行の要請に応えたという。

NABUの説明では、その際、中央銀行への担保に出された不動産は、資産評価報告書の捏造を通じて約25倍の価格に引き上げられていたという。捜査班の評価では、当該不動産の資産額は7262万フリヴニャであったが、VAB銀行は当時18億フリヴニャとしていた。

これを受けて、中央銀行はVAB銀行に対して、12億フリヴニャの安定借款を供与したと伝えられている。

加えて、NABUは、VAB銀行は、これまでにも中央銀行から30億フリヴニャを借款として受け取っており、償却されていないという。2014年時点では、同銀行は既に支払い能力がないと認定されていたと説明された。

また、本件の中央銀行から受け取った12億フリヴニャの安定借款は、2年間の期限が過ぎた現在も償却されていないという。