露占拠のザポリッジャ原発付近で砲撃と黒煙確認=IAEAチーム

ロシアが2022年から占拠を続けるウクライナ南部のザポリッジャ原子力発電所に常駐する国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは、16日に原発敷地近くで砲撃と近隣の3か所から立ち上る黒煙を確認した。

IAEAが本件につきグロッシー事務局長の声明を発出した

声明にて、グロッシー氏は、「死傷者や設備への被害は報告されていないものの、この事件は、核の安全性と保安に対する恒常的な危険を再び浮き彫りにした」と述べた。

IAEAのチームは(編集注:ロシアが占拠を続ける)原発側から、複数の砲弾が、原発の敷地外のディーゼル燃料貯蔵施設から約400メートルに着弾したとの報告を受けたと伝えている。チームは、この件が被弾地域の植生に火災を引き起こしたが、火災はコントロール下にあると考えられていると伝えた。

報告には、同情報は、IAEAチームが独自に観測した状況と一致していたと書かれている。現地時間13時26分頃から約2時間にわたり散発的な砲撃音が聞こえ、14時30分頃には敷地近くに3発の砲弾が着弾。銃声も聞こえたという。その後、チームは原発の主管理棟から敷地外の場所から上がる煙を確認。チームはまだ報告された砲撃地域を訪問できていないが、翌日朝に、安全状況が許せば訪問を要請するつもりだという。

グロッシー氏は、「昨日、IAEA総会で私が述べたように、軍事行動は依然としてザポリッジャ原発を危険にさらしている。かつては実質的に想像できなかった、主要な核施設の近くで砲撃やその他の軍事活動が行われることが、この恐ろしい戦争の間、よく起こっている。私は、原子力発電所の近くでは最大限の軍事的自制を繰り返し求めてきたし、今日も改めて要請する。手遅れになる前に、それは止まらねばならない」と訴えた。

これに先立ち、9月9日、ウィーンのIAEA理事会会合で、ウクライナ代表団は、ザポリッジャ原発の主権的管理を回復し、ウクライナの運営会社である「エネルホアトム」による動発電所の安全な運営を再開させる必要があると表明していた。